謎の男 「てめェは俺が黙ってたら何も言わねェつもりだったのか!?あァ!?」 「いや、だから…軽いものであって…」 「病気に重いも軽いもねェんだよコノヤロー!!」 「あ、その…別に二週間に一回検診に行けばいいし……医者からも激しい運動は控える様にってだけであって…その…」 李野はいつの間にか銀時の前で正座して縮こまっていた。 「してんじゃねェか!!余裕で!!」 「え…!?いや…そんなはずは…」 「よく考えろ!!依頼で猫捕まえる時も猫よりもダッシュしてたじゃねェか!!猫より速いから追い越して結局無意味だったけど!!」 「…すみません…」 銀時の言う様に李野はとにかくじっとはしていなかった。 「くそがっ!!ふざけてんじゃねェぞ!!」 銀時は苛々した様に頭をガシガシと掻きむしる。 李野には何故銀時がこんなにも怒っているのかがわからなかった。 「こいつ病院にいたが、どっか悪ィのか?」 「え!?病院って李野さんが?」 「何だ知らねェのか?山崎が付けてたんだが、こいつしょっちゅう倒れてたらしいぞ」 「たまに動悸もしてたらしいですしねィ」 「「「!!?」」」 「……おいおい…マジで知らなかったのか?」 だァァァァ!!むかつく!! 今だに苛々している銀時に怖ず怖ずと李野が声をかけると、銀時にビシッと指を指された。 「とにかく!!お前これから俺達の監視付きだからな!!」 「えー!?」 「あ゙ァ!?」 「イエッサァァァァ!!」 それからの銀時は…いや、万事屋の面々は李野にとても厳しくなった。 「…どこ行くんですか?李野さん」 「ギクッ……ちょっと散歩に…」 「行くならこの私を倒してからにするヨロシ」 「……えー…」 「逃がしゃしねェよ…李野…?」 「………」 「――……これじゃ入院してるのと一緒だ…」 「いいじゃないですか。愛されてるっすね〜」 「……そう思うか?」 「ええ、そりゃあもう」 「…そうか…」 そう言われ、僅かに頬が緩んだ。 「何にやけてんすか。キモチワルイ」 「医療ミスしてクビになればいいのに」 「そうなれば水野さんも死にますね〜」 「………チッ…」 「ところで何であんなに入院を嫌がってたんですか?」 「その時間が勿体ないからだ」 「は?」 「拙者は何れ実家に戻らなければならん。そしたら皆にもう会えない」 「え、会えないって事は無いでしょう?些か遠いですけど…」 「いや、会えん」 きっぱりと言い切る李野に男は訝しい顔をする。 「……そうっすか。それは寂しいですねェ」 「どうだか」 「本当ですよ〜もうっ」 「…お主いったいいくつだ?」 「え〜何歳に見えますかァ?」 「見た目は…何だっけ?アーサー?」 「アラサーっすね。それはもう名前でしかないないっすね」 李野に言われた男はそんなに若く見えますかね〜。とヘラヘラ笑う。 「もっといってるのか?」 「トップシークレットです」 実は名前も知らない李野であった。 Next ―――――― (イメージはブ●ーチの浦原さんで) [前へ] [戻る] |