殺戮の悪魔※ 血の臭い、煙の臭い、何かが腐敗した様な臭い。 それらの酷い臭いは自分達にとってとうに慣れてしまっている。 一瞬たりとも気を抜けず神経を尖らせる。例え仲間が転がっていようが、それを踏み越え突き進む。 それが戦場――。 「ぐああああ!!」 「……雑魚が」 「目が!!目がああああ!!!」 先程まで自分を見下していた奴が大きく泣き叫ぶ。 「……滑稽だな…」 人間の女と見くびった化け物達は、自分の周りで悶え転がっている。 手足が無いもの、皮を削がれたもの、頭の半分がないもの。 まだ息はあるが、そのままにしておけば必ず死ぬ。 だって自分がそうしたのだから。 「くっ…うううう!!痛い!!頼むから殺してくれェェエ!!!」 泣きながら懇願するのは四肢がないもの。 そいつを冷めた目で見下ろし、耳を削いでやった。 再び悲鳴が静かな戦場に響く。 「……そうやって痛み、苦しみ、死んでいけ。」 「ひっ!あ、悪魔だァァァ!!」 「悪魔?…クッ…ククククッ…ハハハハッ!!」 笑わせる笑わせる笑わせる!! 「拙者が悪魔だとしたら、貴様らは一体何なんだろうなぁ!!」 今度は足が無いものの傷口を踏む。 「ぎゃあああああ!!」 「………精々この地球に来た事を後悔するがいい」 苦しめ、泣き叫べ。 拙者達の痛みはこんなもんじゃない。 銀時の痛みも―。 小太郎の痛みも―。 晋助の痛みも―。 すべて思い知れ。 松陽先生とみんな以外いらない。 全部壊れてしまえ。 苦しんで苦しんで死んでいけ。 この頃からだろうか。 “殺戮の悪魔” と呼ばれる様になったのは。 [前へ][次へ] [戻る] |