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ヅラじゃない桂だ


「……あのォ…そろそろ出して貰いたいんですけどォ……いい?」
「「「「「あ/“あ”」」」」」


扉の前から男達が退くと、ようやく桂が出て来た。


「やれやれ、何なんだまった…く……」


目の前にいた李野を見て桂は目を見開いた。


「……まさかっ……お前は……」
「久しぶり、ヅラ」
「ヅラじゃない桂だ、…ってそんな事を言っている場合ではない」
「お主の決めゼリフも久しぶりだなァ、ハハ」
「……生きて、いたのか……?」
「何を言うか、目の前にいるだろう?」


桂は、どこか陽気な李野に眉間を深くさせると李野の前までズンズンと歩み寄った。


「?どうしたそんな恐い顔して」
「………一発殴らせろ…」


ボコッ


李野は頬を殴られそのまま後ろ倒れた。


「か、桂さん!?」


慌てる3人。
李野は無表情かつ無言で上半身を起こした。


「………今までどこほっつき歩いてた!俺達がどれだけ心配したか分かっているのか!?」
「………」


李野は俯いている。

するとエリザベスが桂の肩を叩いた。


「“ここじゃ何ですから中で話したらどうです?”」
「……そうだな…」

























「「………」」


部屋に入った二人だが、暫く無言だった。
そして最初に口を開いたのは李野だった。


「……拙者も…お主らは死んだと思っていた…」
「………」
「…ある時、偶然辰馬に会ってな、お主らの事を聞いてこのかぶき町にやって来た…」
「………何故戦の途中でいなくなった」
「背中をバッサリ斬られた」
「……そうだったか…」


桂は李野の頭に手を乗せた。


「生きてて良かった…」
「主も…」


互いに微笑み合い、桂は手を降ろした。


「ところで、何も拳で殴らなくても良いではないか。仮にも拙者は女なのだぞ」
「それだけ仲間だと思っているという事だ。有り難く思え」
「ハハ…相変わらずだな…」



「「「どえェェェェ!!?」」」


突然3人が襖からなだれ込んできた。


「……貴様ら、のぞき見とは趣味が悪いぞ」
「すっすみません!!って、あんた女だったのか!?」
「そうだが…」
「「「……」」」


3人は李野の顔をまじまじと見つめる。


「…いや、でも良く見ると女っぽい…」
「確かに…」
「……世界は広いなァ…」


ガシ、ガシ、ガシッ


「「「うごっ」」」
「“桂さんこいつらがすみません、ではごゆっくり”」


エリザベスが3人の襟首を掴んで部屋を去っていた。




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