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ただ者じゃない


結局引きずられやって来た真撰組。そこの取調室に連れて来られ何故か尋問される事になった。


「悪ィがあんたの事は調べさせて貰った」
「……」
「てめェの家が幕府直轄で父親が藩主である事はわかっている」
「…ほぉ、ならこんな事して大丈夫なのか?拙者次第では主らの首が跳ぶぞ」
「…いい度胸じゃねェか」


李野の強気の姿勢にニヤリと笑う土方は、パサッと書類の束を机に投げた。


「こっちはてめェが攘夷戦争に参加してたのもわかってんだぜ?そんな事言ってるのも今の内だ」
「……やけに拙者の回りをうろちょろとしていたが、密偵か何かか?」
「話を逸らすな」
「鍛え方が足らんな。あれじゃバレバレだ」
「え?ばれてました?」


その声と共に机の下からのそっと山崎が出て来た。


「気配は消しているつもりかもしれんが、まだまだだな。わかる奴にはわかる」
「そうなんですかァ。わかりました、精進します」
「山崎てめェ引っ込んでろ!!」
「ひィィィィ!!」


土方に凄められ、山崎はまた机の下に潜り込んだ。


「ゴホンッ。で、簡単に言うとてめェには攘夷浪士の疑いが出てる。桂とあの高杉とも関係があるらしいからな」
「…それで?」
「それでって、だから…」
「拙者が否定しても、はいそうですかとはいかんだろう?だが仮に拙者が攘夷浪士だとしても主らに咎める事はできん」
「はァ?何言って…」
「土方さーん」


今度は扉を開いて沖田が現れた。その後ろには近藤もいる。


「トシ、釈放だ」
「何言ってんだ近藤さん。まだ疑いは晴れちゃいねェ」
「いいから釈放しろ。真撰組を潰してェのか」
「は?」


訝しい顔をする土方に対し、近藤の顔は厳かな顔をしている。その二人を余所に李野は立ち上がった。


「では拙者は帰らせて貰う」
「…てめェ……なにもんだ…?」
「………ただの人間だ」


李野がそう言って去ろうとした途端グラッと体が傾いた。


「……ぅ…」
「!?おい!!」


そのまま倒れかけた体は近くにいた沖田が受け止めた。沖田は李野の顔を見て眉を潜める。


「…顔色がひでェ」
「何っ!?………トシ」
「なっ俺じゃねェよ!んだよその顔は!!」
「何て事を!!あのマヨネーズ丼を食わせて感想を言えと脅したのか!?トシ!俺はそんな男に育てた覚えはねェぞォォ!?」
「まだ何も言ってねェェ!!」
「あーあ。これで土方さんの首も飛んで副長の席が空き見事俺がその座を頂くのでした。心配しないで土方さん。土方さんの魂はしっかりと受け継いでみせる。〈終〉」
「普通の奴はいねェのかここには!!」




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