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フラグじゃないよ


「悪くはないっすね」



悪くは、ってなんだ。はっきり言えや。


今日は定期検診の日。勿論、銀時達には適当に言って来た。

ちなみに二週間に一回は行ってるからね?今まで書かれてなかったけど。


「…という事は良くもないと」
「まあそうです」


いけしゃあしゃあと答えるのはこのかぶき町での拙者の主治医。他人を苛々させる天才でもある。


「前回と比べると胃が大分弱ってますね〜。可哀相に」
「…今は粥ぐらいしか食えんな。他は吐く」
「あ、今日肉のセールっすよ」
「いいから早く結果を言え」


無駄なやり取りを終え、医師はカルテを見ながらつれないですね〜と呟く。


「今回も入院はないです」
「そうか(よかった…)」
「できれば入院してくれるとこちらも有り難いんすけどね」
「嫌だ」
「…まあいいです。取り敢えず薬出しとくんでちゃんと飲むこと」
「わかった」
「それとしっかり食事は取って下さい」
「そうだ。貧血の薬も出しといてくれ」
「………」


さっきまでべらべら喋っていた男が突然黙り真剣な表情で見返された。


「………やっぱ入院して下さい」
「だから嫌だと…」
「死ぬおつもりで?」
「は?」


男はカルテを置きハァと溜息をついた。地味にイラッとくる。


「あなたはご自身の身体をよくわかっていない」
「…どういう事だ」


まさか、もう限界なのか…?


「貧血は酷ければ倒れる事もあります。それに加えあなたはよく行き倒れる」
「………」
「倒れていたところに偶然車が通ってあなたが死んでしまったら私…!!」
「………」


そんなに拙者の事を思って…。


「かぶき町から出て行かなきゃならないんすよ!!?」
「……は?」
「今私にはあなたしか患者がいないんす!その患者が死んでしまったらここに居場所がない!!」
「…」
「かぶき町にどんだけ綺麗なお姉さんがいると思ってるんすか!?」
「……」
「おまけに、その辺に転がってでもいたら一般市民の皆さんに迷惑でしょうが!」
「………」


ごんっ


「あだっ!!」
「今度主治医を変えてくれる様頼んでおこう」
「残念。そんなに上手くいかないっすよ〜」
「こういう時に金は役立つな」
「や、やだなァ。冗談に決まってるじゃないですか〜」
「…ハァ…また来る」
「はいはーい、お大事に〜」


パタン




「……………そろそろ入院しないと本当にやばいっすよ…水野さん…」

























病院に来て逆に疲れてしまったので、ロビーでぬべっと座って支払いを待っていた。すると、隣でどかっと座る音が。


「よォ、病院たァどっか悪ィのか」
「………え、誰?」
「土方だコラァ!!忘れたとは言わせねェぞ!」
「忘れやした。ついでにそのまま忘れ去られてくだせェ」
「てめェに聞いてねェんだよ総悟!!バズーカこっち向けんな!!」
「水野さーん」
「はーい」
「てめェは無視してんじゃねェェェ!!」


よく見れば、銀時と無駄に張り合ってた男と我が弟とくりそつ兄ちゃん。

何だかめんどくさそうなので、支払いを終えそのまま去ろうとするとがしっと肩を捕まれた。


「ちょっと屯所まで来て貰おうか」
「嫌だ眠い休ませろ腹減った」
「拒否権はねェ。総悟」
「へい」


がちゃん


「………」
「何で首輪付けてんのォォ!?」
「すいやせん土方さん、俺ァこれしか持ち合わせてなくて。てへっ」
「てへっじゃねェよ!!どんな茶目っ気おこしてんだよ!!」
「心配しなくても土方さんの分もありまさァ」
「心配してねェェェ!!!」




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あきゅろす。
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