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ズキューン


李野は脇目も振らずずんずんと進んでいく。


「待つネ李野!!」
「李野さん!!」


呼び止める声も聞かず部屋に着くと入りバタンッと閉めた。

新八と神楽は為す術なく立ち尽くす。後から来た桂が任せろと言い二人を銀時の元に送った。

くれぐれも美人が李野だとは明かさぬ様告げて。













「――…俺だ、入るぞ」


とくに否定の声がしなかったので桂は部屋へと入った。

そこにはこちらに背を向けてじっと佇む李野がいた。


「……李野」
「…脱ぐ」
「は?」
「今すぐこんな格好剥いでやる」


と、無理に帯を外そうとする李野に慌てて桂が近づく。


「待て、そんなに無理にしたら…」
「うぐっ」
「…言わんこっちゃない…」


逆に締め付けられてしまった。


桂は溜息をつきながらも李野に手を貸そうと帯を持ったが、その手の上に李野の手が重ねられ、動きが止まる。


「………銀時は最後まで気づかなかった…」
「…無理もないさ。俺だって最初は目を疑った」
「でも気づいた。しかも一目で」
「………」
「……そんなに拙者は…女らしくないか…?」
「!」


先程の名残か、少し潤んだ目で見上げられ(プラス美人)、桂のハートはわしづかみ!!


「今マジでヤバかった」
「…?」



銀時の気持ちもわかる気がする…。



「それより李野…大丈夫か?」
「………」


李野は俯き桂の手を上からギュッと握る。


「……少し…恐かった………銀時じゃないみたいで…」
「…あいつも酔っていたからな…少し正気じゃなかった」
「……そうだな…」


桂は李野の後頭部に手を添え自分の胸元に引き寄せた。そして頭を撫でてやる。


「よしよし、恐かったな。もう大丈夫だ」
「む…拙者はいい大人だ」
「じゃあこの着物を掴む手は何だ」
「………」
「フッ…こういう時女子は大人しくしているものだぞ」


暫く李野は桂のされるがままだった。




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あきゅろす。
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