えっ誰?
すまいるの前では、銀時と桂が立っていた。桂は網笠をつけ僧侶の格好をしている。
「おい銀時、まだか」
「知るかよ、んなもん。俺だって早くジャンプの続き読みてェんだよ。つーか何でいんの」
「リーダーに面白いから来いと呼ばれてな」
「暇してんな」
「暇じゃない。今日だってエリザベスとの蕎麦があったりテレビの取材があったりで多忙だ」
「充分暇じゃねーか」
銀時は首を摩り電柱にもたれた。
「ところで李野はどうした」
「ん」
親指で指された所を見て桂は首を傾げた。
「どういう事だ」
「知らね。何か助っ人で女装してんだと」
「女装?李野が女装しているのか?」
「そうなんじゃね」
ちなみに女だから女装ではない。
すると、妙が戸を開いて出て来た。新八と神楽もいる。
「李野さん、恥ずかしがっちゃって出て来ないんです」
「んだよそれ、じゃ俺帰るわ」
「まぁ待って下さいな。ほら、案内して」
と促されて出て来た女に、銀時と桂は目を奪われた。
「私がお酌しましょう。さぁどうぞ」
淑やかに微笑むのはとんでもない美人。藍の着物が緑の髪にとても合っている。
「「………」」
「どうされましたか?やはりお帰りになられますか?」
「ドンペリ持ってこーい!!」
銀時は意気揚々と店に入って行った。だが桂はその場で固まったままだ。
「……李野…か…?」
「!」
「おー、流石ヅラネ!一発でわかったアル」
「銀さん全く気づいてなかったね…」
「ヅラじゃない桂だ。変装を見破る事くらいたやすい」
「……変装じゃない」
「…本当に李野か?」
李野は渋々といった感じで頷いた。
「これは見違えた。銀時にはもったいないくらいだ」
「………可笑しくないか…?」
「ああ。凄く似合っている」
俯く李野の頭にポンッと手を乗せる桂。それを見て三人はこそこそ話す。
「李野はヅラとも怪しいアル」
「でもさっき桂さん、“銀時にはもったいない”って」
「そうね、李野さんってば普段わかりづらいけど今ので決定打よ」
「李野さんてやっぱり…」
「間違いないアル」
こうして着々と李野の気持ちは皆にばれていくのだった。
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