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決心


むし暑い夏が過ぎ、季節は秋。秋と言えば食欲の秋とか食欲の秋とか食欲の秋とか言うが、


「………」


目の前の人間は正しくだらけの秋。いや、秋限定じゃないか。


「銀時、少しくらい動かないとあれだぞ。メランコリックになるぞ」
「メタボリックな。俺別に気滅入ってねェから」
「ほっとくネ。こうなったら天パは梃子でも動かないヨ。糖なら動くけど」
「ジャンプも可」
「可、じゃねェよ!!いい加減仕事見つけないとやばいっすよ!!」
「大丈夫だ新八。いざとなったらあのまりもを使え」
「死ね天パ」


このかぶき町に来てから知った事が山程ある。

まずこの町の住人が個性溢れる面々という事。いや、もう溢れ出てるか。
そして多分まともなのが、この新八君だけ。あ、でもこないだ会った、…何だっけ?山田?山崎?殿も些かまともそうだ。


「新八君、銀時はいつもこうなのか?」
「はい…でも前はもうちょっとましだったかも…」
「………拙者だな、原因は」
「え?」
「拙者という金持ちまりもがここにいるから、悪化させたんだろうな」
「ごめん、さっきの謝るから出て行くとか言わないで、お兄ちゃん寂しい。……ボソッ…逃がすか金ヅル、俺を飢え死にさせる気ですかコノヤロー」
「言った!!とうとう言った!!今まで気付かなかったふりしてたけど、今金ヅルってはっきり言った!!!」


銀時の発言には涙を呑んで、


「それでだ新八君、神楽殿。拙者は決心した」
「何ですか?」
「何アルかぁ?」
「拙者は働く」
「「は?」」


新八と神楽は素っ頓狂な声をあげた。


「料理とかは全くできんが、それ以外ならできる」
「いや、李野さん。何も働かなくても」
「金ができんと給料も貰えないだろう?拙者の金は元々親…いや、あまりあてにならんしな」
「李野〜!やっぱいいやつネ!!どこぞの天パとは大違いアル」
「本当ね」


突然ここにはいない声がし、振り向くと妙が立っていた。


「姉上?どうかしましたか?」
「少し李野さんに頼みがあって」
「拙者にか?」
「ええ、でもちょうどよかったわ」
「「「?」」」
「李野さんに助っ人に来てほしいの。“すまいる”に」
「すまいる?」
「スナックなんだけど、大丈夫。おさわりとかパフパフとか全然ないですから」


そう笑顔で言う妙に、李野はうーんと唸った。


「だが拙者は女の格好などした事ないよ」
「李野さん綺麗な顔してらっしゃるし、ちょっと化粧して着物着ればとても似合いますよ」
「李野ならホストが向いてると思うけど、またそれも見てみたいアル」
「僕もそう思います。第一李野さんも女らしくしたいんじゃないですか?」
「あまり思わんな」


乗り気じゃない李野にどうしたもんかと妙は頭を捻るが、そこに助け舟がきた。


「スナック?そいつが?やめとけやめとけ。どうせ似合わねェって」
「ちょっと銀さん」
「だいたいイケメンに着物着せてどうすんだよ。おやじから笑われるぜ?」
「………やる」
「え?」
「やる。行くぞ妙殿」
「え、ええ…」
「ふん、目に物見せてやるわ」
「(……もしかして…)」


そう言ってドカドカと行く李野に妙はふふっと笑いながら付いて行くのだった。




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あきゅろす。
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