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マダオ2


李野は万事屋に帰ったが、銀時はまだ起きていず仕方なく銀時を起こしに行った。


「おい銀時、起きろ」
「んがァ」


少し揺さ振るが銀時は鼾をかくばかり。


「まったく…涎なんぞ垂らして。みっともない」


呆れながらも銀時を見る目は暖かい。


「にしてもこれは何だ?」


長谷川から渡された紙袋を首を傾げながら見る。すると好奇心からか開けたくて堪らなくなってきた。


「銀時に預かってる物があるんだが…気になるから開けちゃうぞ」
「がァ…」
「………起きろォォォォ!!!」
「どわっ!!」


李野が布団を引っぺがし耳元で大きく叫ぶと銀時は飛び起きた。


「何なんだよ朝っぱらから!!脅かすなよ!!母ちゃんかてめェは!!…ん?何だそれ」
「これか?」


銀時は持っている紙袋を顎で指しながら李野を見上げる。


「今朝公園で長谷川殿から渡してくれと預かったんだが…」
「あ?長谷川さん?…ってもしかして……」
「一体何だこれは…」
「見るなァァァァ!!」


紙袋を覗こうとした李野に慌て立ち上がり、それを奪おうとする。が、銀時が布団で足を滑らせた。


「あ」
「は?」


その声に気づき李野が顔を上げると銀時が目前に迫ってきている。そして、


どしーん










ちょ…地味に痛い…。


二人がいてて、と声を上げながら気づくと、銀時が李野を組み敷いている状態になっていた。


「「………」」


呆気に取られている二人の顔は近い。


つーかこいつの腕細すぎやしねェか?


場違いな事を考えている銀時は李野の顔をまじまじ見つめる。その李野はもはや思考停止だった。と、カサリと音がして二人が横を見ると、紙袋から中身が出ていた。


「……“濡れたナース”…“あなたも淫らな世界へ”…………」
「………」


目を泳がせ始めた銀時は一気に気まずくなる。それを冷めた目で見ていた李野は、一呼吸置くと銀時の股間を思いっ切り蹴った。


「ほげあっっ!!!」
「…どけ」


声にならない叫びをあげた銀時は、涙を流し両手で股間を抑えゴロゴロと転がる。


「ひーひー!!つっ潰れた!!間違いなく潰れた!!」
「いいか銀時、拙者は見るなとは言わない。が!!これを女である拙者に渡すとは!マダオは何を考えている!?どういう教育してるの!?お父さん!!」
「ひーひー!!」


尋常のない痛みで銀時はそれどころではない。


「だいたいお前は働かずこんなものばかり見おって……」


李野のお説教は暫く続いた。


















原因の長谷川は、


「銀さん喜んでっかなァ。楽しみにしてたもんなァ」


と、にやけて煙草を吸っていた。


「しかし銀さんも隅に置けねェなァ、あんな別嬪さん傍に置いちゃって」


おっさんにはわかっちゃうんだよねェ。色々と。




「目ェ離すとすぐ行き倒れる奴でさァ、ほっとけねェんだわこれが」


とも銀時が言っていた事は敢えて言わなかった長谷川であった。




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