マヨ方2
「そういや、てめェ木刀なんか持ってやがるが」
「ん?実を言うとこれは」
「ばっか!!」
真剣と言いそうだったのを慌てた銀時は李野の口を押さえた。そして小声で李野に言う。
「あいつァ真撰組だぞ」
「!」
こくっと頷いた李野を見て銀時は手を離した。土方はそれを訝しげに見ていた。
「木刀がどうかしたか?」
「ああ、もし真剣が使えんだったら真撰組の斥候やんねェか?今、少し弱体化しててよ(あのゴリラのせいで)」
初対面の李野に頼むとはよほどの事なのだろう。
「おいおい何言っちゃってんの。人ん家の金づ…従業員勝手に取らないでもらえますかァ?」
「今お前金づるって言おうとしたよね?」
「……その“斥候”とはどういう仕事なのだ?」
「なァに、ただの助っ人みたいなもんだ。給料は弾むぜ?」
「そうか…」
「駄目だ駄目だ。そんなのお兄ちゃんは許しません」
「誰がお兄ちゃんだ」
「だいたいあれだよ?こいつん所、ストーカーはいるわドSはいるわマヨラーはいるわでろくなとこじゃねェよ」
「言ってくれるじゃねェか。侮辱罪でしょっぴくぞゴラ」
「上等だゴラ。第一こいつ女だから」
「は?」
素っ頓狂な声を聞いた銀時は勝ち誇った様な笑みを浮かべる。
「お前女か?」
「何だ、女は斥候とやらは出来んのか?」
残念だなぁとちっとも思ってない事を言いながら雑炊をすする李野をまじまじと見る。
「………」
「信じられねェならほれ、」
銀時は土方の腕を引っつかむと、
ふにっ。
「なっ!」
土方の掌を李野の胸に押し当てた。
「てめェ何しやがる!!」
「あり?李野意外と胸あったんだな」
土方は真っ赤な顔して立ち上がり怒鳴る。李野はというと、笑顔で固まっていた。
「………」
「おーい李野?」
李野は暫くしてれんげを置くと熱々の雑炊を銀時の顔に押し付けた。それはもうパイの様に。
「どわっちィィィィ!!!」
「帰る。自分の分は自分で払え」
さっさと立ち上がると李野は玄関に向かった。
「やばいよこれ、目に入ったよ。大丈夫俺?目とか鼻とかちゃんと着いてる?溶けてない!?のっぺらぼうになってない!!?」
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