さっちゃん2
「――ストーカー?」
結局寝直した李野に、やっとさっちゃんを追い出した銀時は先程来た新八と、同じく先程起きた神楽と共に説明をする。
「ストーカーとはあれか?好意を持った人物に着いてまわるという」
「近付かない方がいいヨ。メス豚が移るネ」
「ふむ」
「こっちは迷惑してるんですよ。万事屋に頻繁に現れては納豆ぶちまけられて。誰が掃除すると思って…」
「へぇ」
「びしっと男らしくいきてェが逆効果だしな」
「ほお」
取り敢えず迷惑野郎と李野は頭にインプットした。
だがまぁよかった。と顔には出さず安心する。
「にしても物好きがいたもんだな」
顎に手を沿え銀時を見る。
「ナメてんじゃねェぞ。こちとら8000人のファンがいるんだよ」
「いや嘘だろ」
「ばれた!!」
「ほら、ばれたって言った」
「…何か聞いた事ある台詞なんですけど…」
「あれ?これさっちゃんのアルか?」
何故かあったさっちゃんのメガネを神楽がつまみ上げる。
「えっ。ヤバくないですか?」
「そんなに目が悪いのか?」
「メガネがないと明日も見えないネ」
「ったくしょーがねェなァ。メガネないんじゃその辺にいるだろ」
と言いながらメガネを手に立ち上がる銀時。それを見ていた李野も立ち上がる。
「拙者が行く」
「は?別にいいって」
「いい。拙者が行く」
少し強引に李野は銀時の持つメガネを引ったくると、スタスタとさっちゃんの元に向かった。
また尻を突き出されちゃかなわん。
残った3人は首を傾げた。
「メガネメガネ…」
「おい」
「え?まさか銀さん!?」
「違う。これ」
李野は四つん這いになってメガネを探していたさっちゃんにメガネを渡す。
「助かったわ、ありがとう。えっと…」
「拙者は水野李野。新しく入った万事屋の従業員で、あそこに住まわせて貰ってる。ちなみに女だ」
ニヤリと笑って言った李野にポカンとしたが、やがて肩を震わせ始める。
「ぎ…銀さんと同棲ですって!!?」
「そういう事だからこれからよろしく頼む」
くるりと万事屋へと向きを変えた李野の後ろでまだギャーギャーと騒ぐさっちゃんの声を聞いて、知らず頬が緩んだ。
物好きは拙者もか。
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