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お妙さん3


「妙殿」
「あら李野さん?どうかなさいました?」


妙がスナックお登勢から出ると、李野が玄関近くに寄り掛かっていた。


「いや、先程は失礼したな。“お嬢さん”という年頃でもないのに」
「そんなこと。全然気にしてないですよ」


案外律儀な人なんだな、と妙は思った。銀時の馴染みと言ったら、ろくな人はいないからだ。


「それと拙者が言えた事ではないが、」
「?」
「新八君の事、大事にな」
「え?」
「それじゃ」


首を傾げる妙を余所に、李野は万事屋へと続く階段を登って行ってしまった。


「………何かしたかしら、私…」


まぁ確かに新ちゃんには少し血祭りにあげる事もあるけど…。ハッ!まさか……どこかのやんちゃ坊主にでも虐められてるんじゃ…。あの貧弱ダメガネめ…!!


「…っと、まだいたのか」


今度は李野と入れ違う様に銀時が来た。


「ねぇ銀さん。新ちゃんに何かあったんですか?」
「は?」
「さっき李野さんに、新ちゃんを大事にって言われたんだけど……大丈夫ですか?あのツッコミしか能がない童貞ダメガネ」
「おいおい、お前が新ちゃんに多大なダメージ食らわしてんですけど」


銀時は、あー。と納得した様な声を出し首の横をかく。


「あいつ、ちっせェ頃弟亡くしてんだわ」
「え…」
「だからじゃね?」


そう言うと銀時は妙の横をすり抜け、スナックの戸を開ける。


「ババァー。飯おすそ分けして」
「オ前ニクレテヤル飯モ金モネェヨ。一昨日キヤガレ、コノ天パ」
「うっせェ、団地妻は黙ってろ。胃拡張娘が増えてこちとら火の車なんだよ。とくに米が」


そんな会話を聞きながら、妙は漸く家路へと歩いた。



李野さんとは気が合いそうだわ。


今度、卵焼きでも持って行こう。あの食べっぷりだと気にいって頂けたようだし。




そして李野の頑張りが自身の危険へと導かれた。


「ジーザス!!」




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あきゅろす。
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