[携帯モード] [URL送信]
お登勢と愉快な仲間達


「よォ、ババァ」
「何だい銀時。家賃でも払う気になったかい?」
「ほらよ」
「……家賃…払った…」
「槍デモ降リマスカネ」
「?銀時様、そちらの方は?」


銀時の後から入って来た李野を見た、たまは聞いた。


「おや、見ない顔だねェ」
「こいつは金づ……俺の昔馴染みだ」
「水野李野と申す。何時も銀時がお世話になっている」


ペこりと頭を下げる李野を見て、お登勢は目を丸くした。


「…誰の昔馴染みだって?」
「だから俺だっつってんだろ。顔面から腐りかけてんじゃねェか?耳まで浸蝕されてんぞ」
「ぶち殺されたいのかい?」


へぇ、と感心した様に李野を見るお登勢は紫煙を吹き出した。


「銀時の昔馴染みにしちゃあ、随分普通じゃないかい」
「確かにヅラよりは普通だが、」
「お嬢さん、外でお茶でも?」


声の方を向くと、李野がキャサリンの顎に指を沿えてクイッと持ち上げ、顔を近づけ……口説いていた。


「え…!?」


途端にキャサリンが美少女へと変貌する。


「っそんな…!!いきなり…っ!!」
「な?」


普通じゃねェだろ?と口には出さずに言われたお登勢は紫煙と共に溜息をはいた。


「うちの従業員をからかわないでくれるかい?」
「おや、お登勢殿にはバレていたか」
「え?」
「キャサリン。そいつは女だよ」


途端にキャサリンは元に戻る。


「いやはや、見事に皆騙されるな」
「テッテメェ!!ヨクモ乙女ノ純情ヲ踏ミニジッタナ!!!」
「まあまあキャサリン様」


殴り掛かろうとするキャサリンをたまが羽交い締めにして抑える。


バタンッ


はっはっはと笑っていた李野が突然倒れ、銀時以外の全員が驚いた。


「なっ!大丈夫かい!?」
「私マダ何モシテナイネ!」


慌てる皆を余所に、銀時はまたか、と李野に歩み寄る。


「ただの“腹が減って力が出ない”だ」


確かに普通じゃないね。と、お登勢は改めて思った。


「はい撤収ー」


そして李野を肩に担ぎ上げる銀時を見て、ふと思った。


「昔馴染みって、どんくらい昔だい?」
「ガキん頃から」
「……へぇ」


お登勢の脳内に、満身創痍で夫の墓に寄り掛かる銀時が過ぎった。


「まァ親友で妹みてェなもんだな。こいつが倒れてたらよろしく頼むわ」


片手をヒラヒラとスナックを立ち去った銀時。

その時、複雑そうな李野の横顔をお登勢だけが見た。




こいつはまた……一波乱ありそうだねェ…。


元から騒がしい万事屋が一掃騒がしくなるが……楽しくなりそうだ。とお登勢は思いながら、フッと笑うのであった。




[次へ]

1/13ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!