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お妙さん2


「今日は上手くいったんですよ、卵焼き」


いそいそと重箱を開けようとする妙を横目に銀時はこっそり李野に話す。


「お前なァ…責任持って全部食べろよ」
「何故だ。折角妙殿が作ってきてくれたのに」
「俺達ゃまだ死にたくねェんだよ」
「は?」
「はいどうぞ」


ニコニコと笑いながら指し出されたモノを見て李野は目を見開いた。そして今度は李野が銀時に耳打ちする。


「ぎ…銀時…、拙者には卵焼きじゃなくて泣いてる卵焼きにしか見えんのだが…」
「大丈夫、お前ならやれる」
「ほら、だって何かプシューって。泣いてるってプシューって」
「いいか?“やれば出来る必ず出来る絶対出来る”って十回唱えろ。自然と黄色く見えてくるから」
「やれば出来る必ず出来る絶対出来るやれば出来る必ず出来る絶対……」


単純にも唱え始める李野。

銀時はソファーの後ろにいる子供達に目線をやった。


「……おい。てめェら人任せかコノヤロー」
「ここは大人の対応でお願いしますよ」
「銀ちゃん。子供は大人を見て育つってパピーが言ってたネ。男らしくおめェがいけよ、クソ天パ」
「はっ倒すぞてめェら」
「……必ず出来る絶対…出来る!!


十回唱え終わった李野は一口で卵焼きを全部食べた。


「「「いったァァァァ!!」」」


バリバリとおよそ卵焼きとは思えない様な音を出しながら噛むと、ゴクンと飲み込んだ。


「いい食べっぷり!お味の方はいかがでしたか?」
「……こ…個性的な味だな……キュウリと同じくらいの上手さだ…」


笑顔で言う李野を見て、万事屋の面々は驚いたが、李野は冷や汗一杯だった。


「まぁありがとうございます。では私、お登勢さんにも様があるので」


一礼して部屋を出ていく妙。妙が玄関の戸を閉めるまで李野は笑顔を保っていたが、戸が閉まる音がした瞬間、テーブルに頭をガンッと突っ伏した。


「よく頑張った李野!!」
「凄いですよ李野さん!!姉上のアレ食べて笑顔を作れる人初めて見ました!!」
「見直したヨ!!ただの食い意地張った奴かと思ってたネ、私」
「あ、キュウリって何ですか?」
「…拙者の苦手なものだ…」
「「「………」」」




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あきゅろす。
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