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対峙


あれから李野は静かだった。…李野以外は。


「どういう事じゃ李野! 李野のばーじんはわしのもんじゃなかったがか!?」
「………違う」
「そっそれでほほほ本当にニャンニャンしたのか…!?」
「てめーはなんでそんな興奮してんだよ」
「知ってるか? 大事なのは最初じゃなく最後だってよォ、ククッ」
「……お前は何が言いたい」


李野はシリアスが保たれないのに頭を悩ませる。

こう…もうちょっと一貫性をさ? 持とうよ。


「つーかよ、別に昨日今日の話じゃねェだろうが。あんま騒いでやるなよ」
「………」
「…エ? 昨日今日の話なの?」
「き…昨日……かな」
「………おまんら先ん行っとけ。シめてくるきに」
「待て馬鹿。俺がやる」
「――いやもう着いたから」


回れ右した二人に李野は言い放つ。振り返ると目の前に襖が広がっており、確かに地位が高そうな人物の部屋に続いていそうだった。


李野は目を閉じ、一つ息を吐くと拳を握った。そして襖を開けた。


「…………」


そして閉めた。


「どうした李野」
「…いや、なんかいっぱいいた」
「何が?」
「…天人が」


ちょ、全員と目合ったわ、やべーよ、と冷や汗ダラダラの李野に対し、四人は涼しい顔だ。


「とーちゃんかーちゃんもあそこにいんだな?」
「あ、ああ」
「なら話は簡単だ。俺達が天人共の相手をするから、お前は親を説得しろ」
「しかし、」
「己のやるべき事をするんだ」


やるべき事…と心の中で復唱し、やがて力強く頷いた。


「…頼んだぞ」


銀時、桂、坂本の順に李野の頭に手を置くと襖の前に並んだ。最後に高杉と目が合った李野は、至極真面目な顔で言った。


「晋助は無理しなくていいぞ」
「誰がチビだって?あァ?」


結局高杉は身長の関係で頭に手を置く事はできなかった。


「――あれ、なんつーだっけ? こういうの。掟破り?」
「それを言うなら道場破りだ馬鹿者」
「あーそうそう。じゃあ行くぞー。せーの、」
「「「たーのもォォオオ!!!」」」


襖を蹴破り一気に突撃した。まさかいきなり来るとは思わなかった天人達は、慌てながら応戦した。

上手い具合に左右に開かれ、真ん中に道。その先には物怖じしない両親と、意味ありげに李野を見つめる夏元がいた。




「……なァヅラ」
「ヅラじゃない桂だ」
「あいつの親初めて見たけどよ、」


銀時は横目で親と対峙する李野を見ながら、一人、また一人と倒していく。



「李野とそっくりじゃねェか」




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