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死語


夏目は銀時達に鋭い視線を送る。それは憎しみの篭った目であった。


「君達か、李野を唆したのは」
「唆す? それは貴様らの方ではないのか?」
「…おんし、あん時見てた奴かや? 男ん癖にねちっこい熱い視線を送っちょった、」


夏目はぎりりと歯を鳴らせると李野を見る。


「李野、君は自分が何をしているのかわかっているのか?」
「…そこをどいて下さい」
「っ君の両親がどうなってもいいと…!?」
「それを止める為に私はここにいる。そこをどいて下さい」


うろたえる夏目に対し、毅然とした態度の李野。


「……! 周りには名だたる者達の様だが、そいつらと一緒に謀反でも起こす気か!?」
「………」
「っ君は私の婚約者だぞ!?」
「婚約は破棄する。もう貴方に縛られる必要もなくなった」
「な、に……!!?」
「フラれてやーんの!」
「黙れ赤サンもじゃげた!!」
「すっげーネーミングだなオイ」


夏目は大きく目を見開きまじまじと李野を見た。本気か…?と問うも黙って見据えられる。その目は驚く程冷え切っていて背筋が凍った。

だが夏目も簡単に李野を手放したくない。一度唾を飲むと口の端を無理矢理上げた。


「………私達はもう他人ではないんだぞ」
「!」
「…契りを交わした仲だ。もう私から逃げられない」
「「!」」
「契り、だと…!? 李野!! おおお前まさかあの男とニャ、ニャンニャンしたのか!? 初か!?初ニャンニャンか!?うごっ!」


一人興奮する桂を銀時は黙らせ、険しい顔をする李野を横目に見る。同意の元でしていないのは、確かだった。

銀時は少し考えた後、唐突に李野の腕を持ち上げた。瞠目する李野。袖が捲れ露になった腕には痣が沢山あった。


「オイオイあんた、いいとこ育ちの癖にDVですか? ドメスティックバイオレンスですか?」
「っ!! 私はただ…!」


言葉が出ないのか、俯き拳を震わせる。李野はすたすたと夏目の横に来ると、静かに告げた。


「…もうここから離れた方がいい。直に貴方の立場も無くなるだろう」
「!?」
「……貴方が私をどう思おうと勝手だが……私は貴方を何とも思っていない」
「……!!!」


ばっさりと切り捨てた李野は、絶望した様にうなだれる夏目の横を通り過ぎ先へと進んだ。

銀時達もそれに続き横を通る。四人は誰ひとり、夏目に見向きもしなかった。

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あきゅろす。
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