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さあな


李野の後に続き、俺達は一気に上へと駆け登る。李野は大丈夫かと時折目を向けるが異常はない様だ。


俺は走りながら考える。こうやって皆揃っているのが不思議でならない。正直、もう揃う事もないだろうと思っていたから。
皆が皆、友の為仲間の為と一致団結し共に戦っている。これがもし李野じゃなくて、銀時だったり坂本だったり俺であっても皆集まっただろう(高杉は李野だから来たのだろうが)。



「…しかし李野。ここには見張りがいないのか? やけに静かだが…」
「………」


……無視された!! まだ怒っているのか貴様は!

と思ったのだが無視ではなく思案していたらしく、ちゃんと返事は返ってきた。

よかった! もし李野に嫌われでもしたら俺は死ぬ!!


「…恐らく上…父上達の所で一緒にいるのだろう。毛利はずる賢い男だ、何か策でもあるのだろうな」
「だろうなって、お前ちゃんと考えてんのか?」
「考えてる」


無表情でそう答えた李野の額には、うっすらと汗。考えてはいるが不安という訳だ。


「大丈夫だ李野」


俺は安心させる様に李野に笑いかける。


「いざとなったらこれを使えば、」
「貴様それまたボカンとさせたらてめェとの縁もボカンだ」
「李野ォォォ!! 頼むからそんな事言わないで!!」


俺はもう壊せない。壊すには大事なものが出来過ぎた。






――五人はひたすら突き進む。が、桂の言う通り本当にがらんとしている。いつもなら天人がうろうろしているのに。


李野の両親は人間を信用出来なくなっていた。否、毛利しか信じられなくなっていた。下僕達も城には入れず、天人のみ城に入れ見張りをさせていた。



「(毛利め…。来るなら来てみろ。…という事か)」
「にしてもでかい城じゃのー。わし横っ腹痛くなってきたぜよ」
「普段から酒と女ばかりに走っているからだ。武士というものは普段から、」
「あー説教はよそでやれよ。うぜーから。ったく横っ腹いてー」
「貴様もかっ」


5分も静かにしてられない三人は走りながらあーだこーだ言い合う。李野はため息をつき、後ろで走る高杉と並んだ。


「……晋助は何故ここにいるんだ?」
「あァ?」
「銀時と小太郎とは絶交したと聞いているが」
「絶交もなにも、そいつらとは仲良くやった覚えなんざねェよ」
「じゃあ何故共に戦ってくれる」
「…ククッ、さァな」


いつもの薄ら笑いを浮かべ、曖昧に終わらせた。李野はまたため息をつくと、不意に立ち止まった。それに伴い四人も立ち止まる。


「どした?」
「!! まさかついにわしと合体してくれるがか!?」
「ちげーよ。だいいち話が飛び過ぎだ」


李野が見据える先には一つの部屋。その部屋の障子が開き男が出て来た。


「李野、ここから先はいかせない」




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