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約束


一足先に天守へと着いた二人。桂達は天人に足止めを食らっているのか、まだ姿は見えない。


「よっこらしょういちっと」


銀時は李野を降ろすと疲れた様にため息を吐いた。


「やっぱ俺も運動不足だわ。土踏まずいてー」
「……ヅラ達はまだの様だな」
「平気だろ。――つかよォ、俺がわざわざしゃらくせェマネしてここまで来た訳、わかってんだろ」
「……まあ…」
「お前とハラ割って話したかった。いつまでもモヤモヤしとくの嫌いなんだよ」


まず、と切り出した銀時は首の横を摩り言いにくそうに口を開いた。


「…悪かったな、あん時酷い事言っちまって。銀さんも大人げ無かったわ」
「……ずいぶん前の話をするんだな。…私からも謝る。ご心配をおかけしました」


お互い丁寧に直立して頭を下げた。


「返事は後っつったが、モヤモヤ嫌いだから今する」
「は、今…?………ハァ…」


ため息を了承と取った銀時は、再び話し始める。


「俺ァいい歳して恋だの愛だので騒ぎたくねェし、 正直言ってそんなのめんどくせェし」
「………」
「だいたいお前とはガキの頃からいるんだぜ?今更そんな気起きねェよ」
「ちょっと待て。お前は決戦を前に私の気を折らす気か?」
「まァ最後まで聞けや」
「………」


何だか気が進まないが、黙って聞こうと李野は銀時を見据えた。すると、彼もこちらを見据えていて、稀に見る真剣な表情をしていた。

それは、思わずたじろいでしまうほど。




「…思えば俺達ャ、昔はずっと一緒にいたな。そりゃもう嫌になるほど」
「………(なんだこいつ)」


てっきりフラれるのかと身構えていた李野は、いきなり昔話を始めた銀時に拍子抜けしてしまう。
そんな李野を余所に銀時は、あの時は笑ったよな、などと思い出し笑いをしている。


「――……そーだよな。お互い成長を間近で見てきた仲だもんな…」
「…銀時?」
「……俺も人の事いえねーな」



てめェから逃げてたのは、俺もだったかもしれない。


「李野。俺ァ智恵の事、確かにちゃんと想ってた」
「……そうじゃなかったらぶん殴ってたところだ」
「ハハ、そうだな。だがそれはもう過去の事だ。いつまでもうだうだしてる柄じゃねェし。かと言って忘れられるかって言ったらそうじゃねェ」




「……だから俺は、てめェを――」



ボガァァァアアアン!!!


「「………は?」」


たっぷり間を置いてから、爆発音が響いた場所を見てみれば、もくもくと煙が上がっていた。


「…アレ? あそこは私の離れがある場所じゃ、」


アハハーまさかねー、と顔を引き攣らせていると、煤まみれの桂達がやって来た。


「アッハッハッハ! おんしゃー昔からやる事が派手じゃき、ついていけんぜよ」
「………チッ」
「敵が多過ぎてキリが無かったからな。致し方無いことだ」


桂は肩を竦め、円形の爆弾を手に一応持って来てよかったと一人頷いていた。


「………何やっちゃってんのォォオオ!!?」


李野は桂の胸倉に掴み掛かり、今や見る影もない離れだった場所を指差す。天人だけでなく下僕達もちらほら倒れているのが遠くに見える。


「ちょおまっ!! よろしくとは言ったけどここまでよろしくした覚えないんだけど!! 味方まで巻き込んじゃってるから!!」
「……あり?」
「バカぁぁあ!!」


涙を流しながら桂を揺さ振る李野。結構園芸とかしてたのに…、と崩れる彼女の肩に、銀時が手を置く。


「しゃーねェから全部終わった後聞かせてやるよ。だからそれまで絶対ェ死ぬな。銀さんと指切りな」
「うぅっ………わかった…」
「なんじゃおまんら。一体何の事ゆうとるかや?」
「…………チッ」


せめてもの仕返しに桂の頬を思い切り抓った後、天守を見上げ拳を握った。



――…父上、母上……。どうかご無事で…。








―――――
本家に乗っかりました。
高杉は舌打ちしかしてない…

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あきゅろす。
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