[携帯モード] [URL送信]
流れ


「全くお前らは……心はいつまでも少年ですか!?」
「「「だってェ」」」
「だってじゃないわボケ!!」


いじける三人を見てこめかみを押さえる李野。高杉は殺し損なったとぼやきながら刀を納めていた。


「――李野様、避難完了っすよ」
「ありがとう」
「あなたの為なら何なりと」


どこぞの執事の様に頭を下げて見せた勝犁。の後頭部に銃口と刀を突き付ける坂本と高杉。


「や、やだなァ…、ほんの冗談っすよ〜」
「勝犁を殺したいのはわかるが、今は後にしてくれ」
「あれ、これ涙かな…」


渋々獲物を降ろした二人。

ふと、銀時と目が合った李野だったが、互いに気まずそうに逸らした。


「………まず、四人は天人を殲滅して欲しい。この離れを出たら、恐らくどっと出て来る。どっかの誰かさんが天人を斬ってしまったからな」
「わかった。――だが李野、一つ聞きたい事がある」
「なんだ」
「……どこか体でも悪いのか?」


何だかんだでうやむやになってしまったが、桂はそれが気掛かりだった。銀時と戦っていた時も、すぐ息が上がっていた。


「………」


黙り込む李野に、銀時以外が眉をひそめる。すると、勝犁がすかさず助け舟を出した。


「ちょっと〜、桂さんも野暮だなァ」
「野暮、とは?」
「李野様が何にお悩みだったかご存知でしょう?」
「焦らすな、はっきりと言え」
「だ、か、ら、“恋患い”っすよ」
「は」
「ドロドロとした三角関係に悩み、食も薄くなって体も弱くなってしまったんすよ。ね、李野さフガァアァア!!」


勝犁の暴走を李野は飛び蹴りをして終わらせた。


「ともかく私は足手まといだから、そこんとこよろしく」
「結局うやむやになったではないか」
「煩い黙れ、こういうのは流れが大事なんだ。流れを止めたら小説にならないだろう。空気読め阿呆」
「李野酷い…!! そこまで言わなくても……!!」


ともかく、と李野は襖をスパンッと勢いよく開けた。そして、開け放たれたその情景に絶句した。

天人が大量に武器を構え、待ち構えていたからだ。


「ほらみろ、ぐずぐずしてたからもう来てしまったではないか。まずは第一陣突破!」
「…ったく人使いの荒いお嬢さんだなァ」


高杉は妖しく口角を上げ刀を抜いた。


「もじゃとヅラは引っ込んでていいぜ。久々に暴れるとすらァ」
「だーってろ歩く18禁。大体何キミ。本家で出番少ないからってでばりすぎなんですけどー。違和感やばいから」
「てめェは後から殺してやるよ。言っとくが俺ァただ壊すだけだ」
「おまんそれしか言わんぜよ、アッハッハッハ!」
「いいから早く行け」


と、再び言い合いを始めた三人を蹴って敵の前に落とした。

桂もため息を吐きながら刀を抜き、そして李野を振り返った。


「全て終わったら銀時とも“決着”を付けるんだぞ」
「………わかってる」
「俺達は何があってもお前の味方だ。これだけは覚えておけ」
「………………」
「……フッ、いい顔する様になったな、李野」


桂は李野の頬を片手で包むと銀時達の後を追って行った。




[前へ][次へ]

2/10ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!