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婚約者登場


ドンッ!


「――…お前だな、侵入者を手引きしたのは」
「ちょっと痛いっすよ〜。それに何の事だか…」
「ふざけるな!!」


李野は勝犁の胸倉を掴む手を強め、締め上げる。


「余計な事をするなと何度言ったらわかる!!」
「…余計だと私は思っていませんが」
「何…、っ…!!」


李野は突然顔を歪め、そのままズルズルとしゃがみこんでしまった。


「…今はとにかくお休み下さい。全く…、人の言いつけ聞かないからっすよ」
「……っ…覚えとけ…」


勝犁は李野を抱き上げると、敷いてあった布団に寝かせた。


「もう暴れないように縛り付けてあげましょうか?」
「…死ね」


布団を頭からかぶった李野に頬を緩めた時、部屋の外からドタドタと騒がしい音が聞こえてきた。



「お待ち下さい!李野様は今お体の方がよろしくありません!」
「うるさい!どけっ!」
「ですが勝犁様が安静にと!」
「また勝犁か!李野はいつも勝犁に閉じ込められているではないか!!」


争う声に勝犁がため息をつく。すると李野が布団から出て来た。


「……勝犁、早く出て行け」
「私なら大丈夫っすよ」
「そういう問題じゃ、」


李野の言葉を切って、部屋の襖が勢いよく開かれた。


「先程侵入者なる輩が現れたと聞いたが、何故始末しなかった…!?」
「“あれ”は私の友でした。今回は私の独断で逃がしたまで。この責任は私が」
「ほォ…? 君は友に接吻をするのか…?」
「!! 見ておられて…」


感情を高ぶらせた男は、瞠目する李野の頬を思い切り叩いた。


「見ておられた…!? ああ、最初から最後までな!!」


収まらない怒りをぶつける様に拳を振り上げた男は、叩かれ切ったのか口から血を流す李野を殴ろうとした。

無抵抗の李野は目を静かに閉じるが、殴られる直前に勝犁が李野を抱き込み代わりに肩を強打した。


「っ……女性に手を挙げるのは男として恥ずべき事じゃないっすか?」
「貴様……!!」
「――出て行け勝犁」
「李野様…?」


腕の中の李野を見ると、強い眼でこちらを睨んでいた。


「…早く……!!」
「っ…、わかりました…」


勝犁は渋々部屋から出たのだった。


「…それで…? 何か言い訳でもあるのかい……?」
「……いいえ」
「そう…。それじゃ、……仕置きだ」


男、改め李野の婚約者――夏目は、李野を布団の上に押し倒した。






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次はぬっる〜い表現あり

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