広島県
「げっふ。アッハッハッハ」
丸焦げになった三人。
「アッハッハッハ…、ほんと笑いしかでねェよ」
「やはり罠だったかもしれんが進むしかないな、アッハッハッハ」
銀時は木刀、桂は剣、坂本は銃を構え走り出した。
その間にもどんどん大砲が撃ち込まれる。それを斬ったり撃ったりして防ぐ。
暫くして、開けた場所に出た。いつの間にか、ここの藩主の下僕であろう大勢の人間に囲まれていて、三人は背中合わせになる。
「…おいおい、奴さんら、狙ってやがったってか」
「その様だな。こ奴らは城を傷つけられたくないらしい…」
「ほうほう…」
桂が坂本に視線をやると、頷き銃を乱射し出した。
「アッハッハッハ!! 見よ!!これが最新式、びーむじゃぁああ!!」
「うわァア!!やめろ!!城が壊れる!!」
人には当たらないが、周りにある建物という建物を撃ちまくる坂本に、下僕達はうろたえる。
「李野はどこじゃァァアア!!」
「何…!?今李野と言ったかあいつら」
「至急報告しろ!」
バタバタと駆けていく一人の下僕を横目に三人はジリジリと前へ進んでいく。少し前にある門を開ければ李野がいる屋敷の敷地内のハズだ。
「よし、今だ!」
相手が怯んだその隙に、一気に門を蹴破りダッシュで駆ける。目の先には他の城より些かこじんまりとした、だが立派な屋敷が見えてきた。
だが、先程とは比じゃない人間達に囲まれた。
「どけ!俺達は李野に話に来ただけだ!!」
「黙れ侵入者共!!そもそもここは今厳重に立入禁止となっている!それを知っての狼藉か!!」
「すみません、知りませんでしたー。だから見逃して下さーい」
「するかァァア!!」
まさに一触即発となったこの場に、凛とした、だけれど無機質な声が響いた。
「――まだ片付いていないのか」
屋敷の玄関口から現れたのは、刀を片手に持った李野だった。
「李野!」
「李野ォォォ!! 一ヶ月ぶりぜよォォ!」
こちらを見て嬉しそうに声をあげる桂と坂本に対し、それを無表情で見る李野。銀時は李野に背を向けている状態なので、表情は伺えない。
その冷たい表情は、かつての戦争時代でしていたものだった。
「何か用か」
「何って、お前を連れ戻しに来たに決まっている!」
「連れ戻す? 何を言っている。ここは拙者の生まれた場所だ」
「俺達はお前が良からぬ奴と夫婦(メオト)になると聞いてここに来たんだぞ!」
「だからなんだ」
「…李野…!?」
冷たい目を向けられ桂は言葉をつまらす。
「そんな事の為にわざわざ江戸から来たのか主らは。随分と暇なものだな」
「…な、何をそんなに怒っているのだ」
「怒ってなどいない。迷惑だと思っただけだ。主らと違って今こちらは忙しい。去れ、さもなくば不法侵入の罪で消す」
そう李野が言うと、何処からともなく大砲が周りにある城から突出し、銀時達に向いた。
「…!! 本気か…!?」
桂が息を呑む。坂本は先程から急に黙り込んで、じっと成り行きを見ている。
すると、銀時が遂に口を開いた。
「ご機嫌ナナメですねー李野ちゃん。マリッジブルーですかァ?」
挑発めいた口調に桂が咎めるも、不敵に口角を上げる銀時は李野を真正面から見据える。李野は何も言わない。
「それにさァ、俺達が結婚止めに来ただけだとほんとに思ってんの?悪ィけど俺らもそんなヒマじゃねェんだわ」
「………」
「お前さァ、ガキ共にまた帰ってくるっつったよな?」
「………主は帰ってくるなと言ったが」
「話を混ぜ返すな。言ったな?つか言ったよな」
混ぜ返すなと銀時は言ったがそれも事実である為、李野は無性に腹立たしくなった。
「何も知らない癖に人の領域にずかずかとでしゃばるな。第一、拙者は去れと申した筈だ。本当に消すぞ」
「やれるもんならやってみな」
「っ! そうか、なら…」
李野が刀を抜いたと思いきや、銀時の腕から血が噴き出した。
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