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やって来ました



「――……え、何コレ」
「見てわからんのか。城だ」
「いやわかるよ?わかるけど規模がケタ違いだろオイ。想像遥かにぶっ飛んじゃってるよオイ」
「広いの〜。わしん船の何倍じゃこりゃ」


三人の目の前には李野の育った場所、福山城があった。


「これ敷地やべェぞ。これじゃ見つけきれねェよ」
「すまん、俺もそこまで考えていなかった(笑)」
「(笑)じゃねェんだよ。ここまで来てどん詰まりかよ(苛)」
「巨城とは聞いていたが、まさかここまでとはな」
「じゃあ人に聞くぜよ。すいませーん」
「修学旅行気分かてめェは」


坂本が声をかけたのは、鍬を担いだいかにも農民といった感じの初老の男だった。


「ん?なんじゃ、なんか用かのぅ」
「李野はどこがか?」
「直球過ぎだろォォ!直球過ぎて逆にわかんねェよ!!」
「李野?ああ、藩主様の御息女さんけ。多分本丸の端ん方にいてちゃったなあ」
「通じた!!てか詳しっ!何でおっさんそんな事知ってんの!?」
「けんどあんたら、そげな事聞いてどーするんじゃ」
「別に何もするまいよ。乗り込もうなんて、するまいよ」
「李野ォォォ!!今行くぜよォォ!!!」
「オーイわかってる君達? 今ここに新八はいないんだよ?銀さん一人でさばききれねェよ?」


だがその男は表情を曇らせた。


「…お優しい藩主様じゃったけえのぅ。まさかあげーな事になるとは……」


そうこぼすと、一礼して去って行った。


「で、どうすんのヅラ」
「うーむ。まず本丸というのは福山城の真ん中だ。侵入は困難だろうな」


銀時は今にも走り出しそうな坂本の襟首を掴み、抑えながら桂に問う。


「なァに弱気になっとるき。わしはどこんでも行くぜよォォ!!」
「よし、お前一回逝っとけ」
「貴様らふざけてる場合じゃ…」
「――お待ちしていました」
「「「!!」」」


突然現れた声に三人は癖で一気に警戒を強めた。後ろにいた人物は少しそれに驚きながらも、安心させる様微笑んだ。


「来ると思ってました。李野様のご友人なら」
「……失礼だが、貴公は何者だ」


桂が尋ねると、その男は先程とは打って変わりヘラリと笑った。


「なァに、ただの医者っすよ」














「――私が案内できるのはここまでです」
「すまぬな。恩に着る」
「いえいえ〜。ですがここからは簡単にはいきません。私達が通ってきた場所は所謂アレですので、この先アレっすからお気をつけて」
「後半わかんねェよ」
「取り敢えず、“曲者だ!出合え!出合え!”的な感じになりますんで頑張って下さい」
「あいわかった」
「わかったんかい」
「わしら強いからの〜、心配いらんぜよ」


それと、と勝犁は言葉を継ぎ足した。


「なるべく、人は斬らないで下さい。ここの人達は皆いい人ばかりなんで…。すみません」
「……いや。了解した」
「あ、天人はどんどんぶっ殺しちゃって下さい」
「おんし空気読めん奴じゃのー」
「「お前が言うな」」


勝犁は、それでは健闘を祈ります、と爽快と去って行った。


「…さて、都合よく案内してくれると勝犁殿が現れたが、信用してもよいのやら…」
「おいおい、ここまで来てそりゃあねェだろ」


そう言いながら、隠し通路から出た。その瞬間。


「撃てェェエエェエ!!」


ドオン!!




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あきゅろす。
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