終焉
一方李野はまた一人で突っ走っていた。自慢の身軽さで敵を薙ぎ倒していき、返り血を浴びていく。
後ろから来た敵には、刀を逆手に取りそのまま後ろに突き刺した。
敵が群がるその場が数年前の戦地と重なった時、
「おい!」
腕を掴まれ振り向くと白夜叉時代の銀時がいて、だがそれも一瞬ですぐ現実に戻った。
「一人で突っ走んなって昔から言ってるだろ」
「あ、ああ…」
銀時はそんな李野の頭をポンと撫でると行くぞと一言かけた。
どんどん敵を倒していく三人に天人達は怯んでいた。
三人は背中合わせになると息を整える。
「銀時、李野!!」
「あァ!?」
「…お前らは…変わってくれるなよ。お前らを斬るのは…骨が入りそうだ。真っ平ごめんこうむる」
「ヅラ…お前が変わった時は…俺が真っ先に叩っ斬ってやらァ…」
銀時と桂は隣の春雨の船にいた高杉に向けて刀を上げ向ける。
「高杉ィィィ!!!」
「そういう事だァ!!」
刀を向けられた高杉は煙管の紫煙を吹き、ニヒルな笑みを浮かべた。李野は二人の後ろで背を向け振り向かず高杉を唯見るだけ。
高杉は李野と目が合うと更に笑みを深めた。
「俺達ゃ次会った時ゃあ!仲間もくそも関係ねェ!!」
「「全力で!!てめェ/貴様をぶった切る!!!」」
「せいぜい町でバッタリ会わねェよう!!気をつけるこった!!」
そう言うと三人は刀を捨て、船から飛び降りた。
李野が桂の背中に、銀時が足にしがみつくと、桂からエリザベスのパラシュートが開いた。
「ハッハハハァ!!さァらばァ!!」
「用意周到なこって…ルパンかお前は」
「ルパンじゃないヅラだ!あ、間違えた桂だ!伊達に今まで真選組の追跡を交わしてきた訳ではない。…しかし……まさか奴もまだこいつを持っていたとはな…」
桂は懐から教本を出すと、それを眺めた。
「…始まりは…皆同じだった…なのに…」
三人は頭上高くにある船を見上げた。
「随分と遠くへ離れてしまったものだな…」
「「………」」
「銀時、お前も覚えているか。…こいつを…」
「………あァ……ラーメン零して捨てた」
三人は風に乗って江戸の町へと向かう。
「ところで李野。お前大丈夫なのか?」
「え、なに、そんなにやばいのか?」
「………」
「李野?」
桂が後ろを向こうとした時、李野が手を離した。そのまま重力に従って下に落ちていく。が、銀時がぎりぎりで李野の手首を掴んだ。
李野はだらんとしている。
「…おい、こいつ熱いぞ」
「………食い…物……何か…エネルギー…を…」
「「………」」
昨日から何も食べていない李野は、見事食切れと発熱と怪我で病院送りになった。
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