一大事…?
「おはようございます」
「おはよーアル」
銀時は、二人の声で目覚めた。
「あれ、銀さんまた飲んでたんですか?お酒弱いんですからほどほどにしてくださいよ?」
「お前しっかり母ちゃんが板についてきたナ」
「誰が母ちゃんだ」
銀時はわしわしと頭をかきながら、ソファーから起き上がった。二人はきょろきょろと李野を探す。
「李野は?」
「……どっかいるんじゃね」
「そういえばお風呂から音がしますね」
新八がそう言った瞬間、風呂場からバターン!と音が響いてきた。
「え、ちょ、李野さん大丈夫ですか!?」
「石鹸か何か踏んだんだろ。神楽ちょっと見てこい」
「りょーかいアル〜」
神楽は脱衣所の扉を開け、扉越しに声をかけた。
「李野ー、大丈夫アルかー?」
返事がないのを不思議に思い、扉を開ける。
「李野?―――!!?李野!!?どうしたアルか!!?ぎっ銀ちゃん!!銀ちゃん!!」
切羽詰まった神楽の声に、急いで駆け付けた銀時は目を見開いた。
風呂場では李野が俯せで床に倒れていた。
銀時は肩を掴み、揺さ振り声をかけも反応が無い。舌打ちをすると、バスタオルをかけ横抱きに持ち上げた。
「新八!救急車呼べ!」
「は、はい!!」
受話器を持ち上げ、番号を回そうとした時、微かな声が李野から聞こえ動きを止めた。
「李野さん!!?」
「……いい…」
「え!?」
「…ただの貧血…だ……横になってれば…治る……騒動しなくていい…」
そう呟くと再び意識を飛ばした。
「――………」
李野が目を開けると、新八と神楽が心配そうに顔を覗き込んでいた。
「あ!目が覚めました?」
「大丈夫アルか?」
暫くぼーっとした後、ソファーから体を起こし頭を押さえる。
「顔色がやばいアルヨ?」
「………昨日少し…飲み過ぎた…」
その言葉を聞き、やれやれと二人は顔を見合わせた。
「ちょっともう、びっくりさせないで下さいよ」
「心臓止まったかと思ったヨ」
「……ごめん…」
「お前ほんとに悪いと思ってんのか?」
李野の動きが止まり、隣を見ると向かいのソファーで銀時が足を組んでジャンプを読んでいた。
「…思ってるが」
「じゃあ普通酒なんか飲まねェだろ。てめェは自分の体の状態わかってんのか」
「…昨日は勢いもあった。拙者が悪いのはわかっているから、話は後にしてくれ」
頭痛がするのか、顔を歪めて言う李野。声も掠れている。
「銀さん、李野さんも体調が優れないみたいですから、今は休ませないと」
「そらァ体調も悪いよなァ。あんだけ飲んだくれときゃァ」
その言い方に、頭痛も手伝って少しイラついた李野は語調も荒くなった。
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