ここじゃない
「――……っ」
鈍器で殴られた様な頭の痛みで目が覚めた。上半身を起こし軽くこめかみを押さえる。
いつの間に万事屋に移ったのだろう。…銀時が運んでくれたのか…。
「……気持ち悪い…」
昨日は飲み過ぎた。ああ…医者に殺られる。取り敢えず風呂だ。
李野はよろよろと立ち上がると、襖を開けた。ソファーでは銀時が鼾をかいて寝ている。
李野は、はだけた布団を直してやり脱衣所へと入った。
「………真っ青…」
鏡を見て呟く。元々血色もいい方ではなかった為、かなりの顔色だ。
衣服を全部脱ぎ、浴室へと入る。そして痛い頭を冷やす様に冷たいシャワーを一気に浴びる。
ぼーっと何をするでもなく浴び続ける。
その背中には、斜めに大きく刀傷が痛々しく残っていた。
やがて水が温かくなっていく。
「………今週中には……帰るか…」
仲間達にもそれぞれに居場所があるし、志を共にする仲間もいる。
自分の居場所は“ここ”ではない。
もう自分は、過去の人物だ。
「…もう少し……皆と…いたかったなぁ…」
死ぬ程、楽しかったな…。
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