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どうしようもない





「……銀時は…、…拙者の事……どう思っている…」




「……ハァー…」


もう、ため息しか出てこない。


自分でも何故あんな事を言ったのかわからない。でも、全部銀時のせいだ。


こんなに感情的になったのはいつ以来だっただろうか。昔の自分からは想像できない。




「どうしたアルか?そんな大きなため息なんかついて。失恋でもしたネ」


そんな事を思っていると、神楽殿が酢こんぶをくわえながら顔を覗き込んできた。

というか鋭いな。いや、別に失恋はしてないけど。それに近いけど、断じて失恋ではない。


「……いや、……そういえばもうすぐ実家に帰らねばならんな、と思ってな」


咄嗟に嘘をついたが、あながち間違いでもないかもな…。


「………李野、いなくなるアルか…?」
「まあいずれそうなるな。これでも家は、藩主なんだ。あまり家を離れていられない」
「そう、アルか…」


少し暗くなった表情に、申し訳なさが込み上げてくる。

自分で言うのもアレだが、やはり寂しいのか…。


「……李野がいなくなったら米がたらふく食べられなくなるアルな……」


と思った自分が馬鹿だった。


「…遠いけど、会おうと思えば会えるネ!それまで楽しくやるヨ!」
「………ああ…」




会えるんだったら、こんなに憂鬱になる事はないのに。


逃れられないと知っていても、ずっとここにいたい。と、強く思うよ。


だが、こればかりはどうしようもない。


そう自分に言い聞かせて、今日は久しぶりに遊んでやろうと前を見ると神楽殿はいなかった。


え?何故?


そういえば、新八君の家で妙殿と何とかと言っていた様な…。


って事は、銀時と二人きり!?
実を言うとあれから少し気まずい。銀時は普通だが。
もしかしてこれを察した神楽殿から気を使われたのか?
え、でもどうしよう…。




と悩んでいたが杞憂に終わった。


今は、万年ヅラが輝いて見えるよ。うん。




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