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キモチ


「ふごぉぉぉお!!?」
「てめェちょっとここに直るネ!!身ぐるみ剥がしてターミナルに括り付けてやるヨ!!」
「なっ何をそんなに怒っているのだ!!俺何かした!?」
「黙れ!!胸に手ェ当てて自分で考えろ!!」
「む、こうか?」
「こうか?じゃねェんだよ!!余計腹立つんだよ!!何が要点を纏めるだ!!纏め過ぎてシャレにならない勘違いしちゃったじゃねェかァァァ!!!しかも言う事長っ!!」
「何がハハハハだ!!てめェなんかエリーに見捨てられちまえ!!」
「なっ何て恐ろしい事を言うんだ!!俺とエリザベスにはそれは固い絆があってだなァ」
「「黙れェェエ!!!」」
「ふんごぉぉああ!!」


ボコボコにされる桂を助ける筈もなく小さくため息をついた所で、銀時に今だ動きがないのに気づいた。


「銀時?」


声をかけたが無反応。暴れていた三人も気づき動きを止めた。


「?どうした?」
「…………っ」


銀時は漸く顔を上げ李野の顔を見た途端、つかつかと歩み寄りそのまま李野を腕の中におさめた。


四人は見事に固まった。


「…ハァーー……こんな思い…二度とごめんだ…」


銀時は確かめる様に、李野の後頭部を一撫でした。
腰にも腕が回されていて身動きすらできない。


「ぎぎぎぎぎぎ銀時」
「…あー?」
「す、すまないが…離してくれ…」


心臓が持たない、とは言えなかった。銀時は素直に離し、何事も無かった様に背を向けた。


「帰んぞー」


そう言って一人で帰ってしまった。




「……李野、顔真っ赤ネ」
「……ほっとけ」


口元を手で覆い、気まずそうに目線をそらした。


「…李野さんでもそんな顔するんですね」
「じゃっかぁしぃ。殺されたいんかおどれは」
「え゙…何で僕だけ…」


李野はわざとらしく咳ばらいをすると、


「…ヅラ、世話になったな。それじゃ」


三人を置いて、去って行った。














「――……銀時…」


病院を出た所で、銀時が腕を組み壁に背を預けていた。まさかいるとは思っていなかった李野は軽く目を丸くする。

辺りは夕焼けだ。


「…ったく…いい年して無茶すんなよな」
「…お主に言われたくない」


銀時は壁から背を離すと、李野の正面に立った。李野は見上げるが、逆光のため目を細める。


「………」


銀時は黙って李野を見つめる。逆光でその表情は伺えない。


「……女が顔に傷つけんなよ…」


呟く様に言って、手の甲で頬をガーゼの上から撫でた。

再び顔が熱くなる。


「………帰んぞ」


銀時は背を向けるが、李野は動けなかった。
それに気づき、李野の手首を取り引っ張る。


「ぅおっ」
「…もうちょっと可愛い声出せねェのかよ。何だよ、ぅおって」
「………」


いつもなら何か言い返してくる所だが、無言な李野に手首を掴んだまま振り返った。


「どうした?」
「……銀時は…、…拙者の事……どう思っている…」
「は?」
「いいから、答えろ…」


眉間にしわを寄せ言う。銀時は訝しげに見た後、首の横を摩った。


「………どうって言われてもなァ、………同志?妹?」
「………そうか」


李野は、やんわりと手を振りほどくと先に行く、と言い歩いて行った。

銀時は振りほどかれた手を見、呟いた。






「………悪ィな…」




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