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結果論から言いますと


「「「……は?」」」


銀時達が唖然と見る先には、頬にガーゼを貼った李野と、隣に桂がいた。


「何だ?そんな間抜けな顔して。それに何故ここに?」
「俺が電話したからな」
「こんな軽傷で電話する事ないだろう」


李野は呆れて桂を見上げる。新八は銀時を羽交い締めにしたまま、愕然と声を出した。


「…え…?ちょ、何で李野さんが…?」
「いや、その、火事があってな。子供が残されたままだと言うので…」
「そこは聞いたアル。……何で生きてるネ…」
「何でと言われても…。まあ死ぬかもとは思ったが、上手い具合に窓から飛び出せてな。あ、勿論子供は無事だぞ」


李野と桂は、いやーあん時は危なかった、と軽い。それに対し三人はまだ的を得ていない様だった。


「…で、でも…桂さんからの電話で…李野さんが死ぬかもしれないって……手術中って……」


新八は銀時を離し、しどろもどろになる。それを見た李野は桂を半目で見た。


「……一体何と電話をしたんだ」
「ああいう場合は要点を纏めて早急に伝えねばならんからな。」




李野が子供を助ける為に火事の家に飛び込んだ。俺は崩れた家を見て、もしや李野が死んだのではないかと思ったが、やはりそこは李野だ。本人は死ぬかと思ったと笑っていたが俺は気が気じゃなくてこっちが死にそうだった、と叱ったよ。ハハハハ。それで大事を取って病院に行ったんだが、一応銀時達にも連絡をと思ってな。今、手術室の部屋の隣にいるから来てくれ。





李野が子供を助ける為に火事の家に飛び込んで死にそうだ。今、手術室にいるから来てくれ。




「……じゃあ、今手術中だったのって…」
「――お父さん!!」
「おじいちゃん!!」


家族と思われる数人が駆け込んできた。医者も頓珍漢なその現状に落ち着きを保ちながらその家族に尋ねた。


「…えっと…ご家族の方で…?」
「はい!!お父さんは!?」
「…えー…残念ですが…?」


母親は泣き崩れ、父親はその背を摩る。子供もポロポロと涙を流していた。


「…もう、歳だったんだ…よく頑張られたじゃないか…」


父親もそう慰め、涙ぐんでいた。




「「………」」


結果論から言って、自分達は見ず知らずのじいさんに涙していたという事だった。



李野は、頭を抱えた。

自分が死ぬかもしれない、と聞いて駆け付けて来てくれたのは嬉しいが、今随分三人は憤慨している事だろう。


李野の思った通り、新八と神楽は見事な青筋を浮かべ、綺麗に二人揃って桂に飛び蹴りを決めていた。




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あきゅろす。
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