後悔後に絶えず
急いで駆け付けた銀時達は、今手術中の場所を聞く。桂は詳しい事を言う前に電話を切ったので、こうするしかなかった。
普通に李野の名前を出せばと銀時は思ったが、幸か不幸か今手術をしているのは一つだけだったので、そこへ向かう。
急いで向かった時にはまだ“手術中”の赤いランプが付いていた。
桂の姿は無く、だがそれを気にする程の余裕が三人には無かった。
銀時は無言で備え付けられた椅子に座り、膝に肘を立て組んだ手に口を当てている。
神楽もその横に座り、しきりに大丈夫と呟いていた。
新八は忙しなく立ったままだ。
“死ぬかもしれない”
それが三人に重くのしかかる。
「…銀ちゃん……李野、…大丈夫だよネ…?」
「………」
「銀ちゃん…」
神楽が縋る様に声を出す。銀時は感情の読めない顔をしていた。
それからの重たい沈黙の数分間が三人にはとてつもなく長く感じた。
そして“手術中”の赤いランプが消え、扉が開き中から手術服を着た医者が現れた。慌てて新八と神楽が駆け寄る。
「手術は!!?成功しましたよね!?」
「……ご家族の方で?」
「そうアル!!」
暗い表情を見て神楽がまさか、と医者の胸倉を掴む。
「おい!!何とか言えヨ!!」
銀時は相変わらず沈黙を守っている。
「………こちらも手を尽くしましたが…」
「「!!?」」
目を見開く。神楽は食ってかかった。
「嘘ネ!!私はそんな簡単に死ぬように育ててないネ!!」
「…残念ですが…」
「嘘ヨ!!!」
神楽の目尻にはうっすらと涙が溜まる。新八は呆然とし、銀時は俯いており表情が伺えない。
「………だろ…」
「…銀さん…?」
「…あいつが…死ぬ筈ねェだろ……」
漸く動いた銀時は医者の胸倉を掴み詰め寄った。
「…死ぬ筈ねェんだよ…!」
どんだけ死線乗り越えたと思ってんだ。
だが、無情にも現実はそうはいかない。
「………残念ですが…」
「っ!!てめェはそれしか言えねェのかよ!!」
「銀さん!!」
怒りが昇る銀時を新八が何とか抑える。
「っくそ!!」
俺はいつもそうだ。後になってどんどん後悔してきやがる。
"あいつ"が死んだ時もそうだった。
「……!!…李野……!!」
「―――何だ?」
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