ツン 「…ハァ…ハァ……っ」 「――ケケケ。いくら鬼と恐れられようが、この数には敵うまい」 「…チッ…」 自分の回りには異質な風貌がズラリと並んでいる。 ――自業自得だ。 一人で突っ走った結果がこれなのだから、仕方のない事。 だが、ただでやられてたまるか。 最後まで足掻き、生き様を見せ付けてやる。 そう思い、刀を握り締めた時だった。 「――――鬼兵隊!!進めェェ!!」 その声と共に、雄叫びが聞こえ敵の一角が崩れた。 先陣を切って走ってきた男は自分と背中合わせになる。 「大丈夫か!?李野!!」 「え?…あ、ああ…」 「……何シケた面してやがる。てめェが一人で突っ走るから、ヅラの怒りが頂点だ」 その男は肩で息をしながら話す。 それだけで、必死で助けに来てくれた事がわかった。 「…以後気をつけます……それから、」 「あァ?」 「すまん。…ありがとう…」 「……はっ…自惚れんなよ。俺は敵がいるから来ただけだ」 「ツンデレ……ツン…ツン助」 「ふざけた事言ってっと置いてくぞ」 優しく、ツンな男。 それが拙者の知る、高杉晋助という男だった。 [前へ][次へ] [戻る] |