ポエム
ぶきっちょ
そいつは俺にぶきっちょだと云った
何が?と訊いたら
目許(めもと)を染めたこいつはこう云ったんだ
「好きなら好きって云いなよね!」ってさ
きっとこいつに動物の耳とやらが付いてたら
間違い無く猫耳ではなかろうか?
因(ちな)みにぶきっちょ=不器用?
それって俺は恋愛に奥手って事か?けしからん
でも待ていや待て
俺が誰を好きだって?
「馬鹿っっっ!!!っ」て泣きそうな顔で怒られて……ドキン??
んん?あれ?あれれ?
こいつこんなに可愛かったか?
あぁなる程(ほど)そうか〜ふうん
これが『恋』って奴なのか
どうりでこいつと居るとソワソワドキドキすると思ったら
俺はてっきり不整脈かと…
マジでだぞ?
これは云わない事にしようかな
俺はこいつの涙をペロリと舐めた
お?ポワンと桜色になったぞ面白い
潤(うる)んだ眼が俺を見上げ
両手で俺の胸にしがみ付いて…
「お前俺に惚れてんのか」
泣きそうな顔で俺を見上げるのを
俺は愉悦に身震いし
重なった唇から互いの吐息が漏れて
俺はこいつを胸に抱き締めた
華奢(きゃしゃ)な
身体(からだ)だが抱き心地は最高だ
「俺もお前に惚れたみたいだ…好きだよ」
胸の中でギュッとこいつはしがみ付いて
コクンと頷いた
『好き』に気付いて良かったよ
例えお前がヤローでもさ
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