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狼御礼・拍手短編・番外編小説  (槙村・ヤマト)

「お会いになりましたの?」
 その日、鷹狩から帰ったロバートから、遠くから見た事のある弟について問われたルイーズは、ドレスの裾をギュッと掴んだ。
 父親に似たルイーズは、お世辞にも美しいとは言い難く、母親に似たリオラがせめて普通に生まれ、女の子なら。ルイーズが男ならと、祖父母に陰口を云われた事があった。母親を死に追いやった子供を弟等と認めない。ましてや親同士が決めた結婚とは云え、ルイーズはロバートが好きだった。その婚約者が憎い子供の事を楽しそうに話す。
「友達になろうと云ったんだ。とても良い子だな」
 ロバートは嬉しそうに云う。だが面白くないのはルイーズだ。ルイーズは顔を引き攣らせながら、「そうでしょう」と嘯いた。


 翌朝、ロバートがやって来て、遠乗りへ行こうと誘って来た。
「馬で、その一頭で?」
 ばあやが眼を丸くしてロバートを見た。あれ程来ない様に云ったのに、人の話しを聞かない性分らしい。
「黙っていれば解らないさ。ね? リオラ。君は馬乗りの経験は?」
「…ないです」
 頬を紅く染めてリオラは馬を見詰めた。白馬の凛とした美しい馬だ。脚が太く穏やかにリオラを見詰め返している。触らせてくれるだろうか? リオラはソワソワとしてばあやを振り返る。
「そんな顔で見られたら、ダメだと云えませんでしょ、リオラ様」
 溜息を吐くばあやに、リオラは眼を輝かせて抱き着いた。
「でも、約束して下さいましロバート様、遠くまで行き過ぎないで直ぐにお戻りを。旦那様に知られれば…」
「大丈夫だよばあやさん。直ぐに戻る」
 ロバートはリオラを軽々と馬の背に乗せると、自分はひらりと乗馬した。馬はブルルと嘶き、颯爽と駆け出す。リオラは鬣にしがみ付き、風を切る速さに驚いた。
「凄い凄い!」
「背を真っ直ぐにしてリオラ」
 云われて背筋を伸ばすと、ロバートの胸にくっ付く形になり、リオラはドキンとした。これでは景色を楽しむどころではない。
「この森は美しいな」
「…そうですね」
「何故ガスバート殿は」
 そこまで云って押し黙る。ロバートは泉の傍で馬を止めると、晴れやかな空を見上げた。
「崖が在るんだな」
 前方に崖が在る。其処に大型の犬が見えた。
 ―――ジン。
 こちらをジッと見詰め、何処かへ去ってしまった。
「この泉はとても深いと聞きます」
「君は泳げるのかい?」
 問われてリオラは残念そうに顔を振る。
「泳げません。ばあやが水遊びは浅瀬の川でしか、許してくれなくて」
「はは、だろうな。過保護だから、ばあやさん」
 ロバートは崖を見詰めるリオラの横顔を見詰めて、その米神に口付けた。驚いたリオラがロバートを見る。
「紅いな」
 愛しく思う。男の子だと理解している筈なのに。
「なに、を」
 唇にロバートがチュッと吸い付いた。リオラは双眸を見開く。
「リオラ」
 口付けが深くなる。リオラは答えるように舌を絡め……。馬から下ろされたリオラは明るい日差しの中、服を脱がされて草むらに寝かされた。
「綺麗だ…」
 身体を這う舌の動きにリオラは熱い息を吐く。
「あぁっ!」
 蜜に濡れた陰茎を優しく扱かれ、早くも腹に白濁を飛び散らせ。口淫に噎び啼き、後孔を舌で撫でられ、リオラはロバートの硬い髪を指に絡めて啼いた。
「また、イッくっ!」
 ゾクっと背をしならせて、リオラはイッた。荒い息が胸を上下させる。ふと、硬く濡れた何かが後孔に充てられて、リオラはハッとした。
「力を抜いて。優しくするから」
 ロバートの汗が、リオラの胸に落ちる。それすらも快感になった。
「リオラ」
 熱い息がリオラの耳を擽る。リオラはジンを思い出した。
 ―――ジン。
 刹那、荒らしくリオラの中をロバートが貪った。揺れる脚を眺めながら、リオラは快感に震えていた。
 それを遠くで馬車の中から見ていた者が居た。ルイーズは扇で唇を隠し、怒りで唇を噛み締めていた。
 ―――あの悪魔めっ。ロバート様まで奪われてなるものかっ!
 ルイーズは馬車を出す様に云い、前方を見据えた。


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あきゅろす。
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