狼御礼・拍手短編・番外編小説 (槙村・ヤマト) ・ 「センセイ…」 「ん?」 「…意地悪…しないで…よ…」 シャツ越しじゃ嫌だ。 直接触ってほしい。 恥ずかしくて、目を伏せれば。 「上等ジャン…」 センセイは、不敵に笑って、俺のシャツに手を入れる。 「里桜、気持ちいいか…?」 「…う…ん…、」 「可愛いな…、ここも、あそこも…」 胸元を弄りながら、片方の手は下半身へと移る。 「して、いいか…?」 尋ねるセンセイ。 嫌って言ったら…きっと、センセイはこんなギラギラした目をしても辞めてしまうだろう。 だって、センセイ、意外にヘタレだから。 俺が嫌がることは絶対にやらないんだ。 だから… 「いいよ…、」 この時ばかりは素直になる。 だって、俺だって、欲しいから。 下手だけど…センセイと、したいから… 「センセイ、この体制で、しない?」 「この体制で…?」 今、この体制、は。 センセイの膝の上に俺が乗せられている体制だ。 「き、騎乗位…みたいな…、随分と積極的だな…。いつもは正常位ですら気絶するのに…。心境の変化か?」 「…いいだろ…、」 言える訳、ないじゃん。 鈴に騎乗位してもらった、なんてしまりのない顔でセンセイに自慢する隼人さんを見て、俺が不安になったなんて。 そんなの…言える訳ない…。 「や、やるよ…、ズボン脱ぐから、センセイも脱いで…」 「はいはい…」 俺の言葉をきき、素直にズボンを脱ぐセンセイ。 途端、センセイの黒い大きなモノが目に入った。 もう…臨戦態勢じゃないか…。 俺…リードできるのかな…。 「里桜…無理だったらやめても…」 「やる…」 「いや、や」 「やるから…」 今辞めたら…きっと一生やらない気がする。 俺は決意を決めて、ズボンを脱ぎ、センセイに膝に跨る。 「里桜、」 「俺、やるからね…、」 「馬鹿…無理すんな…、」 センセイはそういって、震える俺の額へキスをする。 「無理なんか…」 「してないって…?何があったかしらねェが、今の里桜でも俺は十分だ…」 「でも…、」 センセイが充分でも… 俺が嫌なんだ。センセイに…してあげたいんだ。 「俺、したい…」 センセイのものへと腰を下ろす。 慣らしてない其処は、当然、すぐにセンセイを飲みこめなくて…、 センセイは、馬鹿、といって、俺の脇に手を入れて俺の身体を引き上げた。 「なに急いでいるかしらねェが、一人で突っ走るな…里桜」 「センセイ…」 「お前には…俺がいるんだから…、一人で突っ走るな」 な、と、優しく言葉をかけるセンセイ。 じわり、と涙腺が緩む。 なんだろ…、悲しくなんか、ないのに…。 センセイがいけないんだ。優しいから。 優しすぎるから…。 だから、甘えちゃうんだ。 「ありがと…、」 すぐ俺は鈴と比べて落ち込んでしまうけど。 その度にセンセイがいてくれるから。 俺は俺でいられる。 センセイの隣にいていいんだって。 安心できる。 「里桜、」 「ん…?」 「どうしても、やりたいなら、ちゃんと慣らすから…、だから…」 ゆっくり、二人で、やろうぜ… そういった先生の声は…、少し、嬉しそうだった。 「…っ、」 眉を潜めながら、ずんずんと、腰を動かすセンセイ。 俺センセイの膝に乗っているのに…動けない。 だって、いつもと違うんだもん。 いつもより、自分の体重がかかるから… いつもと違う場所が刺激されるから…。 「センセイ…、」 センセイと、目線が同じだから。 どきどきして、何も出来ない。 本当は、もっとうまくするはずだったのに…。 「里桜が可愛くて仕方ない…里桜の全てが…、俺をおかしくする…」 ほんと…? 俺、可愛くないよ…? 素直じゃないし。 鈴みたいに、エッチだって、楽しめてあげられない。 だけど… 「…センセイ、」 だけど、ね。俺は…。 「好き…大好き…」 俺は、センセイが好きだから。 俺をずっと見守ってくれた先生が、大好きだから。 素直になれないけど、大っ嫌いってすぐいっちゃうけど。 でも…好きって言葉はセンセイだけだから…。 俺の好き≠ヘセンセイしかいないから…。 笑顔も、感情も全てセンセイにあげるから…。 だから… 「捨てないで…」 「すてねぇよ…、離れられるか…、今更」 「俺だけを愛して…、」 「お前だけしか、愛せねぇよ…」 センセイは、俺の身体を抱きしめながら、言う。 俺の中に己を挿入したまま。 「お前を誰よりも愛しているから…」 そういって、俺にキスをする。 ね、センセイ。 言っていい? 俺ね、今誰よりも幸せかもしんない。 センセイがいてくれて。センセイが、俺を抱いてくれて。 きっと誰より、一番幸せ。 「センセイ、大好き…」 センセイ、ありがとう。 [*前へ][次へ#] [戻る] |