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狼御礼・拍手短編・番外編小説  (槙村・ヤマト)

滑り台の下に、里桜が居た。
「に〜に」
鈴がパアッと笑顔になって、里桜へ駆け寄った。
「…鈴…?」
里桜はびっくりして、抱き付いた鈴を受け止める。
「り〜お…、に〜に」
里桜はドクンと胸がなって、ギュッと鈴を抱き締めた。急に、この突然出来た家族を、自分が守らなきゃと思えた。泣き虫で気に入らなかった筈の存在。
「鈴」
「う?」
「しょうがないな…兄ちゃんだよ?」
「?」
「俺が兄ちゃんだよ、お前は弟な? 嫌なら口聞かないからな?」
それは困ると、鈴は差し出された小指に自らの小指を絡める。
「約束ゲンマン!」
鈴はじっと小指を見詰め、にっこりと微笑んだ。
「言葉、兄ちゃんと言葉出せるようにしような?」
鈴は嬉しそうに、うんうんと頷いて、チュッと頬にキスをする。
薫や祖母が、寂しがらないようにと、鈴にするスキンシップだ。
里桜は照れながらも、鈴の頬にキスをすると、2人は手を握り締めて帰宅した。
「鈴」
呼ばれて隣を見ると、里桜が思い出したと顔をしかめる。
「武には気を付けろよ!? あいつなんだか凄く危ないからな」
「あ〜い」
鈴は頷いたのだった。


「ぶえっくしっ!?」
武は浴室で盛大なくしゃみをした。
「早く出なさい!」
ほけ〜と惚ける武に、母親が洗面所から声を掛ける。
「鈴ちゃ〜ん」
明日また会いに行こうと心に決めた。が、翌日里桜に手酷く追い出される武でした。


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あきゅろす。
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