[携帯モード] [URL送信]

狼御礼・拍手短編・番外編小説  (槙村・ヤマト)

「泣き虫嫌いだぞ」
ひくひくと泣く鈴が、里桜の言葉に黙り込む。
「この子誰?」
「鈴。この間来た」
泣きはらした眼を里桜に向ける鈴を、武はほよ〜と眺め、思わず鈴の両手を握り締めた。
「男は責任をとるんだ」
「「?」」
里桜と鈴がキョトンとする。
「俺が鈴ちゃんを嫁さんにする!」
鈴は首を傾げ、判らないままにこりと笑った。


「なんだよあいつ」
面白くない。
「どうしたんだい?」
父親の直人が、玄関先で里桜を見つけると、車から出した向日葵の苗を手に、玄関ドアを開けた。
「鈴は起きた?」
「起きたよ」
里桜はムッとしたまま公園へ駆け出した。



武はぽあんとした紅い顔をしたまま、向かい側に在る自宅へ戻った。
「やだあんた、熱でも有るの!? 顔真っ赤!」
母親が慌てて武の額に手を当てる。
「鈴ちゃん可愛い…」
「は?」
「俺の嫁さんにする! 母ちゃん将来は安心してくれ、孫は任せろ」
「……」
母親はポカンとして、首を傾げると武の頭を叩いた。
「ませてんじゃないわよガキんちょが」


[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!