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鬼畜オオカミと蜂蜜ハニー(鈴編)
合宿
「イく、イっちゃう!」
「イキなさい! 私の種を植え付けてあげる。私の鈴、君の中はなんて好いんだ、あぁっ」
「やああああ、イく〜〜〜っ!」
 ドクンドクンと白濁が最奥ではじけ、隼人は鈴の唇にむしゃぶり着いた。
「あ…ん」
「鈴はぼんやりとしながら、隼人の胸に頬を擦り寄せた。
「隼人さん…」
「私が君を守るから、何処にも行かないでくれ」
 鈴はふと見上げて、微笑した。僕、これでも男なんだけどな…。今は甘えていよう。この広く暖かな胸で。


『気を付けて行っておいで』
 陸上部の合宿へ行く為玄関で靴を履いていた鈴の背後から、隼人と実家から帰宅した薫が見送りに出て来てくれた。
『お腹のお薬は持った? あんた直ぐ熱出すから気を付けてよ?』
 少し大きくなってきたお腹をさすりながら、薫は鈴を心配する。鈴は大丈夫だと云って、玄関を飛び出して行った。結局鈴音に会った事や、モデルの話しは薫に話せずじまいで、眼すら合わせられなかった。
 ーーー兄ちゃん昨日は深夜に帰って来て、直ぐ寝ちゃったし……。
 相談しようにも、避けられてる気がする。否、鈴が里桜に怖じ気づいてしまっていた。
 自分が信じていた人は、もしかしたら自分を信用してくれていないのかも知れない。
 そんな悲しい事に気付かされた。


「鈴?」
 剛は鈴の隣から顔を覗かせた。陸上部23名は、今栃木県那須塩原市に向かって、貸し切りバスに乗っていた。先日薫から実の父親について、鈴は聞かされたと聞いた。あの上条貴博が父親だと。これからの身の振り方について悩んでいる鈴を、剛は不安でならないのだ。
 ーーーもし、あの小早川家から出ると云いだしたら、俺は…。
「酔ったか?」
「ううん、大丈夫。でも…顧問の先生の代わりに、春ちゃんが代理に来るなんて凄いね」
 その事について、剛ははうんざりとした顔で前方を見る。
「顧問のヤロー、奥さんが産気づいたからって、急遽保険医に頼みやがって」
 今朝早く、産気づいた妻に付き添いたいからと、職員室で暇な宮根春彦を捕まえて、合宿行きを押し付けた。本人が快く了解し、今に至る。
『宜しく高橋剛君』
 笑顔で云われた剛は固まり、後退り…。
「合宿先が秘密って、あいつ何考えてんだか」
 剛のボヤキに鈴は苦笑し、車窓から外を眺めた時、眼を瞬きした。
「……剛、合宿先着いたみたい」
 剛は「あ〜?」と外を眺めた。バスは駐車場に入り停車する。生徒達がざわついた。
「おつかれさ〜ん。合宿先に着いたよん? 因みに此処、俺の実家」
「「なんですと!?」」
 全員呆気に取られ、外を眺めデカい寺を眺める。
「「「マジっすか!?」」」
「さあ〜みんな降りて荷物運んで〜」
 春彦はパンパンと手を叩いて、先に外へ降りて行った。
「…マジかよ? あいつ寺のガキかよ?」
「みたいだね〜でもおっきいね剛」
 鈴は荷物を手にバスを降りながら、左右に控える菩薩像を見上げた。蝉が大合唱する中、生徒達が次々と境内に入っていく。
「いらっしゃい皆さん」
 エプロンをした中年女性が、社務所から出て来た。
「お疲れでしょう。はるさん、生徒さん達に奥の道場に案内したら、麦茶をお出ししてあげて?」
「道場?」
 剛が首を傾げる。
「うちは空手の教室も開いてんの」
 春彦が説明すると、剛は「へえ〜」と関心していた。生徒達は春彦に案内されて境内の奥へと脚を運ぶ。参拝客がちらほらといる中、鈴は白い帽子に赤いワンピースの女性を見掛けた。
 −−−綺麗な人…きっと里桜が女装したら、あんな風になるのかとな。
 自分がいずれモデルで女装しなくてはならなくなる事に、里桜でつい想像してしまった。暫く歩くと、大きな建物に着いた。
「さあ、荷物は中に入って、奥の部屋に置いて。麦茶出すから、今日はゆっくりしなさい。明日からのスケジュールは、後で説明するからね〜」
 春彦はそう云って何処かへ行ってしまった。風の入れ替えをされた部屋が12畳を2年と1年が使い、6畳を3年が使う事になった。運ばれた麦茶はよく冷えて美味しい。一旦荷物を置いた生徒達は、広い道場に集まっていた。
「じゃ、説明するね〜」


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あきゅろす。
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