鬼畜オオカミと蜂蜜ハニー(鈴編) 交換条件 鈴は微笑んで、鈴音を見た。この人は自分だけが好きなんだ。鈴は要らない子供…。 「条件って何ですか?」 鈴音はクスリと笑う。 「私の手掛ける、雑誌の専属モデルをしてほしいの。少しの間で良いわ。学校にはばれないように、女の子の姿で。きっと可愛いわよ?」 隼人も鈴も驚愕した。 「も…モデル!?」 「ちょっと待って下さい? 女の子の姿で?」 隼人が鈴の横顔を見やる。 「出来なければ、話しは無かった事にするわ」 「…っ」 「ちょっと、あなたは鈴の母親だろう!」 「今は薫が母親よ。これは私のビジネス。どう? 鈴はやるの?」 鈴は目許を染めて鈴音を睨んだ。 「やります」 「鈴…」 「上条貴博が、あなたの思っていた人間で無く、落胆する可能性があっても?」 鈴は唇を噛んだ。どうしてそんな事云うのだろう。何を考えているのか解らない。 「やります」 『そうと決まれば話しは早いわ。日程は此方から連絡するから、メアド交換しましょう』 鈴は鈴音の云われた通り、携帯のアドレスを交換した。 『撮影の日に、上条貴博を呼ぶわ』 鈴は胸に手を当てて、ざわめく鼓動を鎮めようと深呼吸する。 「り……ん。り…鈴?」 隼人に呼ばれて、鈴は顔を上げた。鈴音と別れて隼人に連れて来られたのは、六本木に在るホテル。エントランスは広く、ドアマンが笑顔でお辞儀をし、家族連れが楽しそうに広間で寛いでいる。 「鈴、大丈夫?」 カードキーをカウンターで受け取った隼人に、鈴は微笑んだ。 「大丈夫。でも此処高そうなホテルだね」 重くなった空気を変えようと、鈴は連れて来られたホテルのロビーを見渡す。 「君は気にしなくて良い。上に行こうか」 4基在るエレベーターのうち、1基に乗り込んだ鈴達は最上階の部屋へ向かった。隼人は鈴の手を握り締めている。鈴はどきどきしながら、これから過ごす甘い時間に身体を熱くした。部屋へ入ると、壁一面が窓ガラスになっており、ビルや車、ネオンがキラキラと光り宝石箱のようだった。鈴は凄いと喜びながら、ガラスに張り付く。 そんな鈴に隼人は微笑みながら、背後から抱き締めた。 「あ…」 「鈴、外ばかり見ていないで、私も気に掛けて」 隼人に身体の向きを変えさせられ、鈴は背中をガラスに押し付けられながら、隼人と唇を重ねた。 「あ…んん…」 舌を絡めながら、隼人の両手は鈴の服を脱がしていく。 「ま…って、や」 「ん? 恥ずかしい?」 隼人は鈴の首筋に唇を押し当てながら、堅くなった乳首を親指の腹でこねる。 「汗、暑かったから…シャワー浴びたい…やあん、隼人さん、だめぇ」 乳首に吸い付いた、隼人の頭に頬を押し当てる。 「なら一緒に浴びよう」 「え? ひゃっ!?」 抱き上げられた鈴は、落ちまいととっさに隼人の首にしがみ付いた。 「シャワー浴びたいんだろ? ついでに風呂に入ろうか」 隼人は楽しそうに鈴を連れて浴室へ向かった。 「う…わあ」 浴室は広く、ガラスで仕切られたシャワーブースの他に、大人が3人入っても余裕がありそうな、大きな浴槽が在った。天井まで在る大きな窓ガラスの向こうは、お台場の輝くネオンの光りが溢れている。隼人は、鈴を裸にして風呂椅子に座らせ、自分も服を脱ぎ籠へ入れた。次に隼人はシャワーの湯加減を確認し、鈴の身体に湯を掛けてくれた。 「隼人さん、自分でやるから…」 鈴は隼人の持つシャワーヘッドへ手を伸ばすが、隼人はそれを制した。 「私がやりたいんだ。…それより鈴、鈴音さんの話しだが…本当にやるのかい?」 「…うん」 現れた鈴音には本当に驚かされた。しかもモデルにしようとするなんて、想定外だ。薫や里桜に相談も無しに決めた事に、今更ながら心配になる。 どうしょう…。 いつもなら、真っ先に里桜を頼ってしまうが、里桜の想いを考えたら相談し辛い。ましてや、鈴は実の父親に逢えるかもしれないのだ。不安と期待で胸に靄が掛かったみたいだ。 テレビで観るような人かどうか判らないから、不安だ。 「私が居るのに考え事? 鈴」 「ごめ…んっあっ」 [*前へ][次へ#] [戻る] |