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「で落ち着いた?」
「ん…。でも不思議だよなどうして気絶した筈の淳が家に居たのか」
「それなんだよ問題は。しかも目覚ましまで掛かってたんだ」
「ここまで来ると不気味だな…。」
確かにと静かに頷きすっかり冷めてしまったオムライスに手をつけた
うん。やっぱオムライスは温かい内が一番だな
「この話はもうなーし!兎に角何ともなかったんだし結果オーライ!みたいな?」
「結果オーライ…なぁ。それでも俺は淳が心配だ…あ、い、今のなし!」
何がなし、だ。
別に嬉しい事を言ってくれただけなのに
まぁ真っ赤に染まった顔が恥ずかしさを紛らわしてるのを物語ってるけど
「ありがとう徹平」
「っ、うっせぇ…」
「ありがとう徹平!」
「ぅ、うるせぇー!」
あまりにも可愛らしい反応をするものだからついついカラカってしまった
そのせいか徹平は目の前に置かれてあったオムライスをガツガツと口に頬張り「話し掛けるな」バリアを張ってしまった
「はぁ、そんなに急いで食べると喉に詰まるぞ?」
「ぅげっ!ゲホ!ゲホ!」
「くく、ほ〜ら」
意地悪く笑いを含めた様に言えば、聞こえるか聞こえないか程度に「ぅっせぇ…」と呟いた
―――――
―――
―
午後の授業を済ませ途中まで同じ帰宅道の徹平と帰れるのは毎度の事で今日もまたその毎度がやってきた
「帰るぞ」
「おお」
バックにプリントを詰め込み廊下をスタスタと歩いている徹平の後ろを早足で追う
「今日やったあれ理解できたか?」
「あ?テメーの脳みそは腐ってんのか?」
「酷!自分がわかるからって威張るなあ!」
「威張ってねぇ。事実だ」
余計に傷付く!
こうやっておちょくられたりのやり取りはいつもの事
前から仲良かったから遠慮要らずで凄く気が楽だ。徹平は学校で一番一緒に居て楽しくほとんどの時間を共にしている
「それじゃあまた明日な」
「うん!またなあ!」
「おお……っ、淳!」
「?なんだ?」
別れの言葉を交わし、背を向け足を進めようとした矢先突然徹平が俺を呼び止めた
俺は体をクルリと半回転させ少し首を傾げると徹平に尋ねた
「昨日の今日だから、その…だああ!くそっ、つまり家まで送ってく!」
「へ?」
送ってく?
俺を?徹平が?
もしかしてもしかすると……
「心配してくれてるのか?」
「そうだ!文句あるか!?」
赤い髪をかきむしり怒鳴る徹平
見た目不良な奴なのに中身は凄くシャイで誰よりも心優しいのを俺は知ってる
「ありがとう。じゃお願いする」
「ッ、とっとと行くぞ…!」
そう言うと俺よりも早く目的地へ向かっていく
やれやれトンだツンツンボディーガードさんだ
けど
「…ありがとな。」
今日一の感謝の言葉は空に吸い込まれ誰の耳にも届かなかった
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