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「や、止めてください!」


「そんなこと言わないでよ御門君…!」


「は、離し、て!」





俺、御門淳(みかどじゅん)は学校の帰り道不審な輩に絡まれてしまった


決して人通りの多い場所ではなかったが蛍光灯もあり不気味な道ではなかったから


だからいつもこの道を使っていたのに今日はそのいつもが一変してしまった



「御門君…!君に…話があるんだ…!はあはあ」

「ひっ!」



夕日が沈みかけた時間に一人で帰っていた時、物陰から突如その男が飛び出してきたのだ


その男は見知らぬ人で息が荒く何故か…


俺の事を知っていた


「何で怖がるんだい御門君…!はあはあ、ああ!良い匂いだ!」


「やめ…!」



よりも数センチ背の高い男は俺の腕を掴み力強くで胸元へと引き寄せた


何なんだコイツ!



「だ、誰か!助けて!」

「ダ〜メだよ御門君、近所迷惑だよ…」


「…!離、せ!」



ぐっと顔を近付けられて慌てて胸元を力一杯に押し返す

その力によろめいた隙に俺は一気に男からかけ離れる



「どおして逃げるの…?…あ〜、照れてるね?か〜わい〜…」


「…!!」


やばい、吐き気が…、


舐めるような視線に酷く甘くドロドロとした声


ジリジリと近寄って来る足音にビクリと身が怯む

誰か助けて!


「さあおいで…!!」


「ひッ!!」


大きく広げられた腕が俺の体に被さり恐怖で力が入らない


俺が…


俺が一体何をしたって言うんだ…!!


くっ、誰か…!



「はあはあはあ御門君…!」


「だれ…け、て」


「はあはあはあ!」



誰か…!



「助けて!!」


「おい」


「「!!?」」


絶体絶命


その時真っ暗な視界が真っ白な光が射したかのように感じた

男の腕の狭い隙間からは第三者が現れた証拠に足が見えその足はスラッと長くこちらに歩いてくる


「何してるお前」


「だ!誰だ!!」


「先に質問したんだからさっさと答えろ」


「…!」



凛とした声が鼓膜を震わす

余裕に口調に男は焦り始めたのかさっきよりも強く俺を抱き締めてくる


苦しい…、!



「そこに居る男は同意の上でそうされてんのか?」


「お前には、か、関係ない!」


「おいそこの、コイツとは知り合いで同意の上なのか」


「…ちがう!」


「ふ、らしいが?」
鼻で笑った第三者はまた一歩また一歩と歩み寄ってくる


それに続くように一歩一歩と男が後退り


もちろん抱き付けられてる俺も後退り


端から見ればきっと妙な光景だろう


あ、やばい…
頭がクラクラして真っ白になってく


「…だ!…な!」

「…に、…」



二人の声が遠くなってく…



薄れていく意識の中フワッと体が軽くなり


「…ぉぃ!」


暖かいものに包まれた気がした


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あきゅろす。
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