マフィアの休日 唐突な言葉(ほのぼの) さわやかにカラッと晴れたイタリアの空の下、賑やかに人が行きかう街中の小さいがとてもお洒落なカフェに、ハリウッドスターのような映画から飛び出してきたような、整った顔立ちの美男美女の二人組みがそこに座っていた。 周囲の人たちの視線を自分達が集めている事も気にも留めずにいた。 「映画のスター?」「モデル?」周囲の人々は各々彼らの職業を予想しあうが、彼らの職業はその予想にはかすりもしなかった。 イタリアでは有名なファミリー「キャッバローネ」 その、十代目のボスのディーノそして、マフィアの世界では知らぬものはいない、高名な忍でありディーノの一番の部下であり、彼の恋人でもある春璃・岸 「春璃〜」 「どうしました?」 「どうしました〜じゃねーよ!!俺と二人っきりなんだから、敬語は駄目だって!!!」 「今仕事中ですよボス…」 ディーノに対して春璃は基本的に敬語である。 それが、ディーノにはふまんだったらしい 「けち…」 「はぁ」 駄々っ子のように口をすぼめるボスに春璃は小さくため息をついた。戦闘となると、部下達の先頭に立って戦い、一人の部下も死なせないように勤める勇敢な彼とは大違いであった。 その時、二人のいるカフェに若い夫婦と小さな女の子が入ってきた。「お父さん」「お母さん」楽しそうに笑う彼女と両親は、誰が見ても幸せそうであった。 「春璃」 「はい」 「いいな」 「…はい。」 ディーノは優しそうな眼でその家族を見つめると小さく呟いた。ディーノの父も祖父もマフィアで、彼にとっては一般家庭のあるべきすがたも特殊なものであった。 「俺さー子供好きなんだ。」 「えっ?」 何時になく真面目な調子で、でもどこか軽い調子で呟くディーノに春璃は少し驚いたように眼を見張った。 「俺の親とかみんなマフィアのボスじゃん…だからさ、ガキの頃から遊んでもらった記憶とかなくてさ」 「…。」 「だから、自分に子供が出来たらさ〜めちゃくちゃ幸せな家庭作るんだ子供ともいっぱい遊んでやってさ」 「ハイ・・・」 「だから、一緒に幸せな家庭作ってくれないか?」 「…勝手過ぎますよホント」 春璃は笑ってディーノの額にキスをした。 [* indietro][prossimo#] [戻る] |