マフィアの休日 言い表せない優しさ。(微甘) 「ねぇ春璃…「彼」の何処に惚れてるの?」 ある日の放課後、いっも一緒に帰る彼氏=獄寺隼人を教室で待っていると、一緒にさっきまでおしゃべりしていた親友に、真面目な顔をして言われた。 「なんでー?」 「あたしが言いたい事…分かってんじゃないの?」 はぐらかそうとしても、流石と言うべきか…10年近い付き合いのためか、軽く見透かされていた。 「…春璃!」 「うん」 彼女が言いたい事は私にも分かっていた。 彼=獄寺隼人はツンツンした性格で、女子も寄せ付けない典型的な不良であったが、イタリア人と日本人のハーフの整った顔に、授業を聞いてなくても常に成績トップの彼は、女子生徒の人気者だった。 おまけに、近所の不良はほとんど倒した強者。 だから、彼の彼女であるあたしは女子には妬まれていじめを受けて、不良たちには、彼の唯一無二の弱点として、拉致されそうになったことが度々有った。 …でも、それでも、彼女であり続ける私が親友には不思議なのであろう。 「春璃」 じれったそうにするしんゆうにあたしは顔を近づけていった。 「 」 あたしが言い終えると外に彼の気配がしたので、あたしはカバンを掴んで、親友に別れを告げてから教室を出た。 「よっ」 「やっほう隼人君」 案の定彼は廊下に立っていた。 「……ほい」 「??」 彼は私の顔を覗き込むと、手を差し出した。 あたしが何のことか分からずに戸惑っていると、彼はしかめっ面をしながら言葉をつないだ。 「てぇ…つなぐぞ・…………あと、心配させてごめんな」 「………!ありがと。」 彼の横にいるのは大変です。 彼はマフィアだし、女子に苛められるし、不良にらちられそうになるし…。 でも、どうやらあたしはこの何気ない小さな優しさの虜になってしまったようです。 [prossimo#] [戻る] |