天使の力
造次顛沛(忍編)
「………。」
少女の顔に悲愴感などなかった。ただ静かに荘厳な佇まいの城を見つめた
「誇り高き闇猫か…」
少女の護送についていた男は素直に舌を巻く。絶望の淵―そんな名がぴったりの少女を取り巻く状況しかし少女は何一つ物怖じしなかった。
「私たちはどうなる?」
牢にぶち込まれると春璃は静かに俺に聞いてきた
「儀式の日まではあんたの忠犬共々放置プレイじゃねーの?」
「そうか…」
表情をかえずにため息を吐く
「…と、いってやりてーが…あの方が何もしねーはずがねえ」
髪と瞳の色以外すべて同じ容姿の少女。でも、目の前の少女とは纏う“何か”がまったく違う気がする
「すまない。色々聞いてしまって」
申し訳なさそうに頭を下げる少女に俺は苦笑する
「大丈夫っすよ。俺はあの方とは別部隊」
「そうか。」
どこか安心したような表情に俺は
「あなたの下につきたかった」少女と会ったのはこれが初めて岸でそれなりの地位を築いてきたがこんなに人として惹かれる人に会ったことなかった
「ありがとう」
願わくばあなたの攻撃が成功しますように
■□■□
「ふぅ。」
綱吉は小さな丸椅子に腰を下ろした
先程ボンゴレ本部での岸との総力戦勝利の一報が来たのであった。
[ひとまず一段落つきましたね]
安心したようなRCの声に綱も頷く
「あとは儀式の日まで4日…お前等のレベルアップの具合にかかってるんだぞ。」キィと音を立てて小柄な家庭教師リボーンが現われる。
「うん…」
少しばかり暗い顔をする綱の顔面にリボーンの蹴が入る
「あぶふぇ!?」
「何湿気た面してやがる!!どうせ春璃を助けられるか心配になったんだろう」リボーンがパチンと指をならせばRCによってテレビ画面に何かが映る
「山本!!クローム!!」
暗い別々の部屋にいる2人は傷だらけでいた。
「あいつらがやってんのは修業だ…孝夜からの情報を無駄にするわけにもいかねーからな…4日で岸の奴らと渡り合えるレベルの力を付けるために特訓している」リボーンは真面目な顔で続ける
「山本は零乃と春璃のデータを読み込んだRCによって幻覚の消し方を体得してもらう…クロームはさらに洗脳の解き方もだがな」
困難な修行してることくらい綱にだって分かる
「リボーン俺は?」
「お前は…」
■□■□
カシャン
春璃は牢の中から目の前の人物を静かに見つめた
「何か用でしょうか?」
静かだが確かに怒りの込められた声に目の前の人物は笑んだ
「…春璃に手を出したら殺すぞ」
反対側に捕われた孝夜が噛み付かん勢いで言えば肩をすくめられる
「こーちゃんには刺激が強いかもね♪」
フィニーレ・岸は春璃とそっくりな…しかし対照的な色の瞳でにやりと笑えば両サイドの部下らしき2人が孝夜に目隠しをする
「春璃!!!!」
2人がかりでも押さえ付けられない程の勢いで暴れる孝夜。
「…」
「は?」
ニヤニヤするフィニーレとは対照的に春璃は小さく言った
「私のことは好きにしろ。ただし孝夜に手を出すな」
「のった♪」
フィニーレは拳を振り上げた
■□■□
「はぁーっはぁーっはぁーっ…あんた達化け物かよ…っ」
薄暗い修業部屋…山本用に水こそはられているが気が滅入る程の霧に少し印象が違う春璃の幻覚に愛用の武器を纏った零乃の姿
「こんなんじゃあいつにかなわないよ?武…君は戦ってんでしょ…あいつと」唇を噛み締める零乃
「ぉ…襲われた…ハァッ…ハァの方が正確かな」
「武は春璃をあたしの家族を愛してくれる?」突如、修業をふと中断し零乃は部屋を片付けながらキョトンとしてる山本に聞いてきた
「おう。」
迷いのない瞳で頷けば零乃は笑う
「じゃあ休憩がてら聞かない?昔話を?」
死亡フラグ
■□■□
なんやかんやでようやく始まり忍編………こっからようやくツナたちのターンだよ……長かった………
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