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天使の力
変わらぬ日々に安堵する
「ただいまー」


此処は日本のとある閑散とした山奥にあるとある場所―そしてここには似付かわしくない古城とも呼べる屋敷と穏やかな湖




まるで外国のような風景の中たたずむ古城に主人が舞い戻ってきた。



彼女は岸春璃

有名な忍一族、若年にして岸家の独立部隊「桜歌」を率いる岸家の優秀な人材だ。

そしてここは「桜歌」の専用施設であった。





「おかえり、春璃ちゃん」

大広間の先の階段から黒いスーツでびしっときめた冷たい印象の女性がゆったりとした足取りで歩いて来るのは岸零乃。

「桜歌」の知将とも言える存在で知識量、また軍師としての才能は抜きん出ている。




「今日はチームに泊まるんじゃなかったの?」

「んー仕事が溜まってるって聞いて…零乃もパソコンと向き合って徹夜してたんでしょ…休みなさいよ」

「あはは…」

通常、マフィア…もといい忍は上下関係を重んじている。つまり、上司である春璃と部下である零乃はタメ口はありえない。


しかし、春璃の人柄ゆえか互いを「家族」と称す「桜歌」ではマフィアらしからぬ暖かい雰囲気と絶対の信頼があったので「桜歌」の雰囲気が生まれていた



「零乃は睡眠を今から取って部隊長命令よ」


「はーい、おやすみ」

春璃は観察眼が鋭いため、部下たちのうそはあっさりと見抜いてしまう。






「ふぅ、」
零乃が自室に戻ったのを見届けた後に、彼女が出てきた道をたどりはじめた







■□■□



「みんなー元気してる?」
階段をあがった先の廊下の一番奥の扉をこじ開けた。


サクッ
ほんの数秒前には春璃の頭があった場所にはペーパーナイフが刺さっていた。華麗に避けた春璃はナイフの投げられた先を静かに睨み付けた。



「仕事しないで何してんの?」
通常、作戦会議ルームとされてるその部屋のテーブルには天まで届きそうな程に積み上げられた書類の山々に、それを挟んで睨み合う1人の金髪碧眼の少女と彼女の隣には眼鏡を掛けた金髪金眼の少年に反対側には先程の少年とそっくりな少年に、少女のような顔立ちの青年



彼らは一様に、声を上げた「春璃!!!!助けて籐夜が働かない!!」
春璃に飛び付いてきた茶髪の青年の名は諒太郎変装が特技で、どんなに難しい場所からも情報をとってくる優秀な諜報員だ。


「あー?」
メンチ切りつつ全員に笑顔を向けると抵抗は無意味であることを悟ったのか、素直に一列に並んで正座をする



「孝ちゃん…状況を説明「あのな春璃!!!」外野は黙れ」
先程の零乃との会話の際の雰囲気はどこへやらどす黒いオーラを纏った春璃に全員唾を飲み込んだ。


「はい…」
そっくりな少年の片割れ―孝夜―彼は「桜歌」の副部隊長であり、双子の弟でキャッバローネ直属の忍の籐夜と並び忍びの世界で名の通った存在だ。最も、双子とはいっても「烈火」「琉氷」と称されるように性格は真反対だが。



孝夜はすくっと立ち上がると口を開いた。
「簡単に言うと籐夜と沙良がデスクワークを投げて任務にばっか出掛けて、諒太郎は他の雑務とかにでもって俺は本家からの仕事を請けに行ってた」あまり感情を顕にしない孝夜から明らかに疲労の色が交じった声に春璃は苦笑する。


「で、あたしと蓮太は門外顧問―ってRCは?」

RC―発明の得意な蓮太が作り上げた人工知能システムのことだ。



[すいません春璃。私も出てたんですよ]
どこからともなく女の声が響いてくる


「えっ?どっか行ってたの?」

[はい、春璃の兄上に頼まれて諒太郎とキャッバローネの応援に…]
皆の瞳が籐夜に注がれる



「えっ?!俺、一言も( ̄□ ̄;)!!」

「デリケートな任務だったから追い出したそうです」

「うそぉぉ!!!」
同じ顔の少年が片方は嘆き片方は哀れみの眼差し―実にシュールだ。



「とりあえず、沙良と籐夜はこれ全部片付けといて、あとは休んで良いよ」



沙良と籐夜の非難の声は無視して諒太郎と孝夜を連れて部屋を出る。




[やっぱ…春璃がいると良いですね]

「へっ?」
廊下を歩いてたらRCが話し掛けてきた。彼女はこの屋敷の警備システムでもあるためいつでもみなの様子をうかがえるのだ。


[春璃がいたほうが楽しそうなんです]


「あたしはみんなの上司じゃなくてここにいる子はみんな家族だから」
ふんわりと笑って去っていった。



[闇猫ねぇ]


「皮肉なもんだろ。あんな俺らの太陽が裏じゃ闇猫だぜ」後ろを歩いていた孝夜が渋い顔をする



[??]


「闇猫ってのはな闇に紛れて人を討つ残忍で冷徹な任務命の忍とされてんだ。」

[…(大好きなんだ春璃のこと…)]
RCは瞬時に言いたいことを理解する。


[孝夜は春璃のこと大好きなんですねぇ]


「なっ?!」
あまり表情豊かなほうではない孝夜が真っ赤になる


[孝夜が本気でキレたときには100%の確立で春璃が貶されたときです]
非常に楽しそうにRCは答えた。



「うっ…」


[案外…平和ね]






■□■□



彼らはまだ知らない。


彼らの主人がこれから


彼らの運命を覆す


希望と出会うことなんて





■□■□


「やぁ、君かい?」


「そうか…順調か、良かったよ」


「これで彼女を送れば良いんだね…ああ、わかった。それじゃ」




■□■□




あとがき



オリキャラを突っ込んだのは良いんだけど…

突っ込みすぎた…(滝汗

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あきゅろす。
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