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2009年07月度 慧side

【二人だけの】


今日も特に大きなハプニングもなく、普通の1日が過ぎたように思えた。
帰りの支度をしながら、僕は考えた。
何かを忘れている気がする…、
そうだ僕は…今日まだ那智と喋っていない!

何だかんだで忙しかった、とはいえ恋人同士であれば話したくなるのが普通だろう。
なんでこんなあたりまえのこと、とは思ったが、教室を見て那智が帰るところだったので声を掛けてみる。

「那智、帰る…か?」
不自然に語尾が上がってしまい、那智に笑われる。
「なんだよ慧、照れてるの?」
顔を覗きこまれたせいで、自分の顔が火照るのがわかる。
「べっ…別に照れてなんか」
「可愛いよ、慧」
そういって僕にキスをする那智。

「いつ那智から話しかけてくれるかな、もしかして話しかけてくれないかな、なんて沢山考えたんだぞ、」
そっぽを向いたままになってしまう。
でもそんな僕の顎を上げて
「ごめんね、喋るのが遅くなって。これからは…」
もう一度、キスされる。
「じゃあ、帰ろっか」


まだ日は沈み切っていない。
寄り道をしていく余裕がありそうだ。
気づかれないように、二人で。


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あきゅろす。
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