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慧×那智   【DESTINY】



【DESTINY】




「慧、運命って信じる?」
ある何でもない帰り道。
突然那智が話しかけてきて最初の言葉がこれだ。
「ん、あんまり考えたことないからわからないな」
なぜそんな事を訊くのだろう。
「そっか…」

そうだ。いままで生きてきて「運命」なんかについて考えたことはほぼ、皆無である。
だけど話を振られてから僕の頭の中は「運命」一色。
僕らが双子なことも、「運命」?
僕らに親がいなくなることも、「運命」?
そして、那智の方が僕より背が高いのも…「運命」?

そう考えてみると、僕は運命に縛られているのかな、と。
でも、全てを信じなければ、全ては運命なんかではないのだ。
考えれば考えるほど、わからなくなる自分。


「那智は運命を信じるか?」
居間でテレビを見ていた那智に問いかける。
「そうだね、信じないかな。」
…信じると言うかな、と思っていたので予想外な返答。
「何で、そう思うんだ?」
「運命に、縛られたくなんかないんだ。運命があるのだとしても、僕はそれを壊して、新しい道を切り開きたい。」
そうだな、とは思った。
「だけど僕には、運命だと思えることがある。」

何?といった眼差しを向けてくる那智。
「那智と出会えた事は、運命で必然的だったと思う。」
だから…これからもそばにいてほしい。
「その運命なら…信じてもいいかな」
ふふっ、と軽く笑う那智。
その顔を、ずっと見ていたくなるよ。

僕は君を嫌いになる術を、忘れてしまったから。




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20090714




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あきゅろす。
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