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時間が余りないので、とりあえず制服に着替えて長めの髪を後ろでひとつに結んでから朝食抜きで家を出ようとすると、黒い影が俺の前に現れたかと思うと、その正体は飼い猫のアビだった。真っ黒な毛並みの彼女は「わたしのごはんは抜きにしないでよね!」と言いたげに玄関の前で立ち塞がってみせた。
「あー、もうごめん!時間がないんだ!今朝は外で済ませてくれ!」
そう言って、俺は立ち塞がるお姫様を抱えて外に出た。そして玄関の鍵を閉めて、学校に急ぐために自転車を思い切り漕いだ。きっと愛想の良い彼女なら、大家さんに朝食を恵んでもらえるだろう(ちなみに大家さんは俺がアビを飼っていることを快く承諾してくれている)。けれども、お姫様はお怒りであろうから、今晩はいつもよりお高いディナーを用意させてもらうとしよう。



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