4 ロイは寮生活。俺はアパート生活。つまり、一緒に帰るということは全くと言っていいほど、ない。本当は一緒に帰りたいというのが本音なのだけど、なんだか俺から言うのも恥ずかしかったり、わがままだと思われたりしたくないから、まだ名にも言えずにいる。 下校時間のチャイムがなった。今日も一日ご苦労様、と自分に言い聞かせるように、大きく息を吸って吐き出した。部活は俺もロイもやっていないので、玄関までは一緒にロイと帰っている(と、言えるのかは分からないけど)。 「エド、帰るぞ」 後ろから声がして、「おう」と返事を返すと、教室を出た。玄関までの間、階段を下りた辺りでちらりと彼女――シンシア嬢を見たような気がした(そういえば、今朝、俺に冷ややかな視線が集まっているときに、彼女は笑っていたっけ?)。 玄関を出て、ロイにばいばいしようと思ったのに、何故かロイは俺の後ろを着いてくる。あれ、ロイって寮出たんだっけ?いや、そんなはずない。 「何で着いて来るんだよ」 素直に、正直に。 「お前、本当によく『なんで』って聞くよな」 そういえばそうかも。何も気にしてなかったけど、よく言ってるのかも。「まぁ、いいや」とロイは言って続けた。 「一緒に帰りたいよなーって思って」 はい?俺、口に出したっけ?一緒に帰りたいって。言った覚えは全くない。 「何だよ、その顔。俺と帰りたくなかった訳?」 俺はその自信はどこから来るのかを知りたい、本音だ。だけど嬉しい。一緒に帰れるだけで(しかも、帰る前から)、こんなにも幸せになれるなんて思ってもいなかった。 「ばかじゃねぇの?」 帰りたいに決まってるだろ? 「仕方ないから帰ってやるよ」 だけど、帰りたいだなんて誰が素直に言ってやるか!仕方ないからだ、そう! * To be continue * [*前へ] [戻る] |