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初恋はもう忘れた。そもそも、それが初恋と呼べるものだったかすら分からないけど。幼い頃、立った一度だけ遊んだだけ。それだけ覚えている。だから、その子がどんな子で、どこで遊んだのか、どうして一緒にいたのか、エトセトラ。その内容は全く覚えていない。人間とは実に寂しいものだ。自分の初恋を覚えているための脳内部分は作るべきだとしみじみ思う。
だけれど、結局今を生きている俺にとっては過去の恋よりも今の恋なのだ。こんにちは、俺の恋人。


仕合わせオイリュトミー
第二部第一話 Hello,my love


思ってもいなかった出来事(例の告白事件。俺はこの出来事で寿命が三年縮んだのではないかと思う)から数日経って、俺の生活は変わったのかと聞かれれば、実はそうでもなかったりする。いつも通りの生活にほんの少しだけの変化がプラスされただけなのだ。勿論、あの日の翌日はどうすればいいのかどきどきしていたのだが、翌日の教室での彼の態度はいつも通りでなんだか自分が馬鹿らしくなった。よって変化無しに等しいのだ。
変化、と言えば最近、俺に対するアビの態度が棘を持っていることぐらい。とうとう女王様は俺に愛想を尽かしてしまったのだろうか。俺よりも確実に食事を与えてくれる大家さんの方が好きなのだろうか。勿論、両者共に俺が原因を作っていることには間違いなさそうだ。



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