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恋というものは、そんなに簡単ではない。そんなことは誰だって知っている当たり前のことだ。しかし『そんなこと』でも人は恋をし続けて最愛の人を探し続けるのだ。まるで、生きていくための酸素を求めるかのように。


* ディヴェルティメント *


国語の教師をしていると、仕事柄、色々な言葉の言い回しや小説の中のある言葉、長い年月を経て今に生きる和歌などが、ふと、私の意志とは関係なしに頭の中に浮かんでは、ぱっと消える。そして、稀に勝手に喉から這い上がって声となって出て来るのだ(全く、何て自己主張の激しい奴らなのだろう!)。

静かな図書室。普段は全く人の気配のしないこの場所が気に入って、授業のない時間にはよく足を運んでいる。そして、最近はたった一つのこと(正確に言えば、好きな人)について思い悩んでいる。色恋沙汰には滅法強いはずの私が、こんなにも思い悩んでいることなんて、彼自身は気付くはずもないのだけど。

『彼』というのはこの学園の生徒で2年A組に在席している『男子生徒』である。つまり、私は、ロイ・マスタングという名の『男性教師』は自分の教え子である歳が一回りも違う『男子生徒』に想いを寄せているのである。


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