cacophony ずっと前から言おうと思ってたんだ。だけど、なかなか言うときがなくて、結局いつも言いそびれていた。 今回だってそうだ。言えなかった。たった二文字の言葉なのに。 よわむし。 * cacophony * いつからかは分からない。気が付いたらずっと追い掛けていた。追い掛けるだけじゃつまらなくなって、追い掛けてもらいたくなった。 だけど、それは不可能な事で。 せいぜい、俺に出来る事と言ったら、俺の方を見てもらえるように、少しでも心の中に入り込むことが出来るように、必死になって係わろうとした程度だった。 だから、きっと、俺のことなんて何とも思ってない。今までの行為は全部、俺の勝手なんだから。 もしかしたら、迷惑なのかな、なんて少しならずは思っているのだ。 それでも、それでも何とも思われずに頭の隅、心の外へと抹消されてしまうぐらいなら、いっそのこと、嫌われてしまって、ずっと俺のことを憎んで覚えていてくれる方が、よっぽどマシだ。 きっと、こんな俺の恋を誰もが「歪んでる」だなんて言うだろうけど、俺は忘れられてしまうよりも、覚えていてもらえるなら何だってする。 自分勝手だって?そんなの生まれつきだ。 多分、この恋を打ち明ける時はないだろう。 俺は一生、片思いを続けるのだ。 打ち明ける気はいつだってある。 ただ、素直になれないだけ。 よわむし。 (Fin.) [戻る] |